症状について
定期的に来院される40代 女性会社員のK様。
この日はとてもだるそうにされて来院されました。
この1週間、ほてり感があってぼーっとするとのこと。
でも、熱を測ると36,7℃とか36,8℃くらいでそこまで高い熱は出ていないとのことでした。
ご自身の実感として「そろそろ更年期?」という感じがあり「不安を感じる」とのこと。
不安の理由は、会社に滝のような汗をかいてツラそうだったり、仕事中でも更年期症状のために病院に行って点滴しにいく先輩がいるからだそうです。
更年期の症状には個人差があるけど、強く症状が現れている先輩を見ていると、あまりにもツラそうで更年期って怖い…と感じているとのことでした。
自分もだんだん先輩のようになるのではないか、日常生活にも影響があるほど、体調が良くない毎日を過ごすようになるのではないか…と考えると、今からできることは何かないかと思ったとのこと。
香庵の診断・分析
40代前、ほてる感じがしたら更年期!?
~その前に、そもそも更年期って?~
更年期とは閉経の前後5年間と定義されます。
(閉経は月経が1年以上こなくなること)
日本人の閉経は平均50歳前後とされ、40代半ば~50代半ばの約10年間が更年期にあたります。
ただ、この閉経時期も個人差があります。
更年期かどうかは年齢ではなく「閉経」を迎えたことを確かめて、そこから5年前に更年期が始まった、と後から定義されることなんです。
そして、いわゆる30代後半~40代半ばにかけて女性ホルモンのバランスがみだれて、体調にゆらぎが見え始める時期を「プレ更年期」というようです。
鍼灸治療では、先に病名をつけて治療を行うのではなく、お身体の状態にフォーカスします。
そのため"更年期"かどうかよりもご本人のお身体のあり方をとても大事にします。
とはいえ、更年期は誰にでも訪れるライフステージの1つです。かつてティーンエイジャーの頃に思春期を迎えたように。
更年期症状の多くは「不定愁訴」と言われています。誰にでも100%当てはまる決まった症状があるわけではありませんよね。
だからこそ、ご自身の心とからだに大きな変化が訪れる時期に向き合えるような丁寧なケアが必要なのではないかと思います。
今回のK様の症状は、"更年期"の初期症状、つまり「プレ更年期」の症状だったのかもしれません。
しかし、現在のK様にとって、更年期かどうかはまだ確かめることができない状態です。
鍼灸治療では「プレ更年期です」「更年期です」といった診断ではなく、体温は平熱なのに、熱感があるというK様のお身体の症状に合わせて診断・治療を行うことにしました。
施術内容と経過
脈診では、全身に張り巡らされた血液循環に関わり、内臓機能を連携して動かすパワーが弱っている、というようなサインが現れていました。
これは、いつも診ているK様の体調(脈の形)とまったく違った身体の状態を表していました。
脈診で得られた情報をもとに厳選したツボ1カ所だけに鍼をしました。鍼は皮ふに触るくらいの浅い刺激です。
さらに、K様の首まわりをチェックすると、コリが強く、リラックスしづらい身体の状態を表していました。首全体の動きもぎこちなく硬くなっていました。
特に、首の骨上に圧痛があるのは、体温計で測って熱があるとは限らない熱感の症状を示す反応でした。まさに今回のK様の症状と一致する反応が、しっかりとお身体に現れていました!
首まわりに点在するコリをチェックして、そのコリをゆるませるツボ(手足に存在する)に鍼をしました。こちらも鍼は皮ふに触るくらいの浅い刺激です。
鍼をしたまましばらく休んでいただくと、全身の余分なチカラが抜けてリラックスした身体の状態を取り戻すことができました。
うつ伏せ姿勢になっていただき、肩から背中、腰の状態をチェックしました。
とにかく背中全体がパーンッと張って硬くなっていました。背骨を中心に両側の筋肉を押してみるとゴリゴリと凝り固まった筋肉に触れました。
仰向けの時に得られた情報を反映させながら、背面のツボの反応に対して鍼をしました。
このとき、首の後ろにある体温計で測っても熱があるとは限らない熱感の症状を示す反応点には、とくに慎重に鍼をしました。
鍼をした状態で、背骨の上にお灸を行いました。
背骨を軽く押していくと、ある場所でふにゃっと凹む感じがあり、K様の感覚としては圧痛があるところがポイントでした。
背骨の上にのせたお灸は、首と肩の境目から背骨と骨盤の境目まで11ヶ所。
さらに骨盤の後ろにあるリラックス効果を高めるツボにお灸を行いました。
お灸が終わり、鍼をした状態で背中全体がゆるむ効果をしっかり引き出せるまでしばらく休んでいただきました。
鍼をすべて取りのぞき、頭皮の温度をチェックしました。
すると、頭頂部にポーッと熱感が現れました。背中に鍼やお灸をしていた時には現れていなかった反応でした。これは、側頭部や後頭部の皮ふ温と明らかに違う特徴的な熱感です。
頭頂部の熱感に対して熱を冷ます鍼のテクニックを使いました。
K様にも頭頂部の熱感の変化を触って確かめていただきました。
「熱が抜けていく感じがわかったのと一緒に、今、鼻の通りが良くなってスッキリしました」とのこと。
仰向けになっていただき治療後のお身体全体のチェックを行いました。
K様から「熱感はなくなったけど、手のひらにだけポーッと熱い感じがあります」とのこと。
K様の手のひらに触れてみると、手首のところで温度差ができていて手のひらにだけ熱感が現れていました。
そこで、手のひらにあるツボに熱冷ましのテクニックを使った指圧の方法でアプローチすることにしました。
まずは左手のひらから20秒ほど押し続けるとK様の左手のひらから熱が引き、腕から手のひらまでの温度が一定になりました。
右手のひらも同じように施術を行いました。
手のひらの熱感がおさまり、左右の腕から手のひらまでの温度が一定になったことをK様に確認していただきました。
施術を終了しました。
治療の振り返り・院長より
鍼灸治療のあと「熱感が取れたのと同時に全身がゆるんでいる〜!」とK様からご感想をいただきました(*´▽`*)b☆d(*´▽`*)
定期的に来院していただいているからこそ、K様の本来の体質や体調がいつもと違う状態になっていることを的確に把握することができました。
そのことを診断・治療に活かすことができた症例ではないかと思います。
K様、次回のご予約日時にまたお身体の状態を教えてくださいね!
ご自身のお身体のあり方に一緒に向き合い、K様が穏やかに軽やかに過ごすことができますようサポートしてまいります!
いつもご利用ありがとうございます。
五反田の鍼灸院 香庵(かのん)
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