膝の痛みにおける鍼灸治療について

ひざは、人間の関節の中でもっとも複雑で不安定な構造をもつとされています。ひざの関節は体重を受けながら動きも担うため、関節に負担がかかり、痛みを起こしやすい部位でもあります。

ここでは、鍼灸治療における膝痛の治療についてお話しします。

まず、膝痛の例としてよくある症状がこちら
 

  • 変形性膝関節痛

  • 関節リウマチ

  • 半月板損傷・じん帯損傷

  • 関節液がたまる(ひざに水がたまる)

 

 

ひざの痛みは、立っているときも、体重移動のときも、正座や階段の上り下りなどの日常生活での行動すべてに影響し、うごきを制限してしまいます。

 

​ここでは鍼灸を使いどのように膝痛を改善するのかを紹介します。

東洋医学では、ひざを単独で考えるのではなく、「からだの関節のひとつ」として捉えています。

 

からだの関節とは「パーツとパーツをつなぐもの」「うごきの流れを作るところ」「うごきのエネルギーが通過するところ」です。

人間のからだの約60%は水分といわれていますが、東洋医学でも人体の「水」の動きはとても重要視しています。

この「水」が多すぎたり、少なすぎたりするとさまざまな病を引き起こすと考えられているのです。

人間のからだの中の「水」とともに、外界の「水」つまり「湿度」が高くなると、悪化したり、余分な水がからだに停滞する(溜まる)ために症状を起こすもので「湿病」と「水気病」と呼ばれているものがあります。

 

「湿病」とは、関節に水が多くなって腫れ痛む病気のことで、もともと水気の多いタイプ(水太りタイプ)の人が寒さで極端に

冷えることでからだの中の血液循環が滞り、足がむくむように、とくに下半身全体の血液循環が悪くなるのと同時に、ひざに水が停滞し痛みを起こします。

「水気病」とは、血行不良やからだを動かすエネルギーそのものが少なくなったために、「水」の流れも悪くなり浮腫(むくみ)や関節痛などを起こす病気のことです

「湿病」とは、四季や天候など自然環境や室内の環境の変化によって「湿気」「湿度」が高くなる事で人体に影響をおよぼすものです。しかし、「湿気」や「湿度」が高くても「関節痛」にならない人もいます。その違いはなんでしょうか?

その違いは「その人のもつエネルギーのバランスが整っているか、循環しているかどうか」と東洋医学では考えます。

 

エネルギーとは、血液循環、呼吸、胃腸の消化・吸収・排泄力、免疫力、骨密度や筋肉の柔軟性などだけではなく、視覚、味覚、嗅覚、聴覚、などの感覚機能、判断力や思考力などの健全な精神の働き、怒りや喜び、悲しみ、恐れなど極端な感情に囚われない自由な気持ちのあり方など、その及ぶ範囲はとても広いです。

 

これらすべてのエネルギーのバランスが整ってからだの中をめぐっていると、「からだとココロは健全に保たれ、病気になる事はなく、長寿を全うできる」と考えるのですが、一日の中で昼と夜があるように、1年の中で暑い時期と寒い時季があるように、空腹になったり満腹になったり、眠くなったり起きて動きたくなったり、一つの出来事に良いと悪い、嬉しいと悲しいなどの捉え方をするように、常に私たちのからだとココロは「変化」にさらされ続けています。

その度に、その変化に対応したり、適応したりするために、エネルギーバランスも変化し続けているのです。

そのため、エネルギーバランスは変化しながら、つねに整えようとはたらくことになります。

「変化できるからこそ整っている」「不安定でありながら安定している」という矛盾した動きがエネルギーの本質です。

このように考えると、私たちの全身のエネルギーバランスは不安定さと常に背中合わせであることが分かります。

バランスを保っているときは良いのですが、からだを構成しているエネルギーは広範囲で活動しているため、そのどこかに、

たまたま何らかの負荷がかかり、乱れ、そこに病を引き起こす原因となるものが加わると、変化に対応できなくなり、病として現れる、と東洋医学では考えます。

このことから、ひざの痛みは、いろんなからだの状況で起こり得るものだということが分かると思います。

仕事のし過ぎ、過労によって起こる関節痛もあります。

とくに、すでに疲れているのに休めず、無理して長時間仕事をしたというケースです。

からだとしては、本来なら回復するための栄養分を血液循環を使って全身へ届けたいのに、回復する間もなく働いて、その結果、ひざの関節に痛みとして現れるケースです。

車ならガソリン不足のままエンジンをかけて走ってガス欠状態が続き、その上故障を起こすのと似ているかもしれないですね。

胃腸のはたらきが落ちて、胃腸の水分代謝が悪くなり水分が溜まった状態になり関節痛を起こすこともあります。

胃腸は、食物を受け取り栄養として吸収し全身へと運ぶ生命のエネルギー活動の発信地ですが、その活動ができなくなると、エネルギーを全身へ送ることができなくなるため、全身の「水」の流れが悪くなり、むくみや関節痛を起こします。

 

鍼灸では、全身を網羅するエネルギーの通路とされる「経絡(けいらく)」を使ってエネルギーの流れを整える治療を行うのですが、ひざを通る「経絡」は「胃の経絡」と呼ばれています。「胃経(胃の経絡)」にあるツボは、鍼灸治療では、ひざの治療によくつかいます。とくに有名なツボで「足の三里(あしのさんり)」は、脚全体の疲れや健康増進にとってオールマイティなツボとしても知られています。ひざの治療のために鍼灸院へ行かれたことのある方は、馴染みのあるツボ(足の三里)に鍼をされた、という経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。それは「足の三里」がひざの治療に効く、というだけではなく「胃の経絡」上にあるツボを使って、ひざの関節を通るエネルギーの流れを整える鍼刺激の効果が、結果的にひざの痛みに効いた、という事が考えられます。

腰の引きつれ、つっぱり感、不自然な姿勢などの問題が、下半身へ影響し、ひざの痛みを起こすこともあります。

肘・肩・股関節・膝は、四肢の運動のかなめとして、「うごきの流れをつくるところ」「うごきのエネルギーが通過するところ」であり、とくに大きな力を発揮する部位です。

 

人体の連結部であるこれらの関節は、単独で動いているわけではなく、全身とのつながりを持って連動しています。

ひざは、上は股関節、下は足関節にはさまれ、腰から股関節を通ってきたうごきの流れを受け、足先へとそのムーブメントを伝える役割をしています。しかし腰に問題があると、そのムーブメントがぎこちなくなり、流れを上手く受け止めて伝えることができなくなります。そのため、ひざには不自然な動きが加わり、つねに負荷がかかる状態となってしまいます。

こうしたひざの痛みは、ひざの関節が直接の原因ではないことにお気づきになられた方もいらっしゃるかもしれませんね。

 

まさにご推察どおり!

腰の引きつれ、つっぱり感をゆるめ、不自然な姿勢を整えることが痛みの改善への近道になります。

鍼灸では「腰の痛みは委中(いちゅう)に取れ」という有名な言葉があります。「委中」とはツボの名前で、ひざを曲げるとシワができる線の中心にあります。腰の痛みを「委中」のツボを使って治療できるということは「逆もまた真なり」で、腰にあるツボの反応を確かめて、ひざの痛みを治療する時に使うことができるのです。

経絡的には、頭から足の小指まで、からだの後ろ側を通る「膀胱経(ぼうこうけい)」という名前の経絡があり、「膀胱経」にあるツボを使って治療を組み立てるのですが、腰は「膀胱経」の支配領域で、ひざの裏にあるツボ「委中」も同じく「膀胱経」上にあるツボなので、治療の組み立てとして、理論的にも整合性のとれた治療ができる方法です。

 

実際の鍼灸治療では、ひざの痛みは、これまで説明してきたように分類しきれることは少なく、エネルギーバランスの乱れが全身に影響して、時間経過もかなり長くなって、治療部位や治療経絡が混合して現れているケースが多いです。

しかし、脈診や腹診などの東洋医学的診断方法を使い、全身のエネルギーバランスの乱れを整え、代謝や血液循環の流れをよくする鍼灸治療をベースに、さらに東洋医学的・経絡的な診断方法をもちいて「パーツとパーツをつなぐもの」「うごきの流れを作るところ」「うごきのエネルギーが通過するところ」である関節へ的確にアプローチしていくことが、ひざの痛みを緩和していくための、少ない刺激で効果の高い鍼灸治療を可能にしている理由ではないかと思います。

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