【本日の目次】
今回は、インフルエンザについてのご説明のあと、東洋医学的な見方や、身体の中で起きていることを踏まえて症状改善に向けての事例をご紹介します。
インフルエンザとは
◆インフルエンザの症状
インフルエンザは一般的なかぜ症候群とは分けて考えるべき「重くなりやすい疾患」です。
症状は、インフルエンザウイルスに感染して1~3日ほどの潜伏期間のあとに発熱(通常38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが突然現れます。
咳、鼻汁などの上気道炎症状が続き、約1週間後に軽快するのが典型的なインフルエンザです。いわゆる「かぜ」の症状に比べて全身症状が強いです。
◆インフルエンザの予防
・予防の基本事項はインフルエンザの流行時期に人混みや繁華街への外出を避けることです。
・避けられない場合は、マスクの着用、外出後のうがいや手洗いを行うことが推奨されています。
・室内空間の湿度を50~60%に保つことも効果的です。
空気が乾燥すると、気道粘膜の防御機能が低下し、インフルエンザにかかりやすくなるのを防ぐことができます。
・室内の換気をこまめに行うことも重要です。
インフルエンザ予防だけではなく新型コロナウイルス対策としても換気は十分に行う必要があります。
冬場の室内換気は室温が一時的に低下することがあります。
からだが冷えて体調を崩しては本末転倒、ということになりかねないので窓を開けるなどの換気では防寒対策をしましょう。
・十分な休養とバランスのとれた食事をとることは、インフルエンザウイルスに対するからだの抵抗力を高めるのに役立ちます。
◆インフルエンザ発症後、外出を控える期間
インフルエンザ発症前日から発症後3~7日間は、鼻やのどからウイルスを排出するといわれています。
厚生労働省(令和5年度インフルエンザQ&A)によると、ウイルスを排出している間は、外出を控える必要があるとのことです。
排出するウイルス量は解熱とともに減少しますが、解熱後もウイルスを排出するといわれています。
解熱後も咳やくしゃみなどの症状が続いている場合にはマスクを着用して周囲の方へ感染しないよう注意しましょう。
症状について
定期的に来院されるフリーランスの40代男性T様からインフルエンザ罹患後のおからだの不調について治療のご依頼をいただきました。
1週間前にインフルエンザにかかった。
熱はピーク時で37~38度台だった。
病院で解熱剤と一緒に飲み薬を処方され、服薬1日目ですでに症状が軽くなったとのこと。
すでにインフルエンザの予防接種を受けていたことも関係したのかもしれない、と感じたとのこと。
インフルエンザの症状は消失したものの、からだのだるさが続いていてツラいとのこと。
家でゆっくりしているときは特に問題はないが、仕事を始めるとからだのだるさがツラく感じて集中力がなくなるとのこと。
T様は普段は一人でパソコンで作業することが1日の大半を占めるお仕事だそうですが、対面での打ち合わせがあると緊張して、終わるとグッタリとつかれてしまうことがあるそうです。
細やかに気配りができる方なので、クライアント様にはとても信頼されていることは、T様もうれしく感じるとのこと。
でも、対面での打ち合わせが続くと、T様のエネルギー消耗がかなり大きくなるようです。
前回、来院されたときがちょうど対面での打ち合わせが毎日のようにあってお疲れだったので、疲労回復の鍼灸治療を行ったのですが、その後も忙しさが続いたそうで、免疫力が下がり、インフルエンザにかかったのかもしれない、とのことでした。
香庵の診断・分析
脈診・腹診では、お身体全体が冷え傾向にあり、とくにお腹の皮ふは冷たい状態で疲労度合いが強く、抵抗力が低下していることを表していました。
からだ全体に余分な力が入り、筋肉が引きつれてコリ固まってリラックスできない状態であると診断しました。
施術内容と経過
首と肩の境目あたりに触れてみると、全体的に皮ふが冷たくなっていました。
このエリアの冷えは風邪症状の前触れを表していることや身体の抵抗力、免疫力が低下している状態を意味する、と、東洋医学では考えます。
そのため、お身体全体の温めるちからをアップしていくように鍼灸治療を行いました。
施術後、お身体全体がポカポカと温かくなり、コリが取れてリラックスした状態を取り戻していただくことができました。
とくに、お腹や首と肩の境目あたりの皮ふもしっかり温かくなっていて、鍼灸治療が終わった後も数日にわたって、おからだの回復力が機能できる状態となっていることを表していました。
美味しく栄養価の高いものや温かいものを食事で摂って、しっかり睡眠をとっていただけると、回復力や抵抗力が高まるので、そのことをお伝えして施術を終了しました。
治療の振り返り・院長より
今回、インフルエンザは治ったものの、からだのだるさが続いてツラい...とのお悩みで来院されたT様。
からだを外敵から守る免疫力がフル稼働してインフルエンザウィルスをやっつけたあとは、やはり疲労感があるものです。
香庵では免疫力を戦士や戦国武将に例えてご説明しています。
インフルエンザにかかったあとの回復期、少なくとも1~2週間は「闘いに明け暮れた戦士(戦国武将)が、つかの間の休息を過ごしている状態」とお伝えすることがあります。
インフルエンザの症状自体はなくなっても、ご自身のからだを癒す回復期間と意識しながら睡眠をたっぷりとって、栄養のある食事をしっかりとることをオススメしています。
◆「病み上がり」という回復期
昔は病気が治ったあとの数日~数週間にかけて「病み上がり」という言葉がつかわれていました。
病気で臥せっていた分の仕事の遅れを取り返そう、病気が治ったから張り切って頑張ろう、とする人に対して、家族や友人、ご近所や職場の方が「おまえさんは病み上がりなんだから無理するんじゃないよ」とたしなめるというような会話がありました。
病気が治ったと思っても、本来の快調な状態を取り戻すまでは、少し時間がかかるという意味でねぎらいやいたわりの気持ちで声を掛け合っていたのですね。
現代では、外出を控える期間や自宅療養期間が決められて、その期間が明けたら「完全復活」とばかりに通常モードで業務をこなすことを求められがちです。
まるで故障したところが直れば問題なく稼働するマシーンのような考え方に近いかもしれませんね。
会社の都合を考えたら、その方が「便利」で「簡単」なのかもしれません。
そもそもお仕事など普段の生活リズムがハードモードの方は、それが原因で疲労して免疫力が下がったところにインフルエンザウイルスに感染し、インフルエンザウイルスを身体の中でやっつけられなくなってしまい、インフルエンザにかかったという可能性もあります。
インフルエンザが治ったからと、いきなり元の生活リズム(ハードモード)に切り替えようとすることは、心身ともにかなり無理することになってしまいます。
私たちは「生身の心とからだ」を持っています。そんな私たちには機械とは違って「病み上がり期間」が、本当は、必要なんですよね。
T様にも、今回、病み上がり期間のお話をお伝えしました。
T様のお身体を守る戦士たち(免疫細胞たち)が、侵入しようとする異物(細菌やウイルスなど)と戦って、打ち勝ってくれてよかったです!
でも、殿(との)は、T様ご本人です!(と、ここでなぜかいきなりT様が大名になってしまいました・笑)
領地や金銀財宝を褒美として遣わされる必要はございませぬが、美味しい食事とたっぷりの休息をお与えくださいませ...と(*´▽`*)
T様は、私の症状説明は、たとえ話や比喩がいつも多いのは慣れっこなので(笑)、スルーすることもなく淡々と聞いてくださいました(^▽^;)
T様、次回のご予約の日にまたおからだの状況を教えてくださいね!
お待ちいたしております。
いつもご利用ありがとうございます。
五反田の鍼灸院 香庵(かのん)について
当院の院長、加藤は国家資格を取得しております ・鍼師(2000年~) ・灸師(2000年~) ・あん摩マッサージ指圧師(2000年~) また、第43回日本伝統鍼灸学会学術大会、世界鍼灸学会連合会学術大会WFASなどにて発表経験もあり、研究成果の発表も行っております。
場所:東京都品川区大崎5-4-7ハイツ五反田203号
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