先日、久しぶりに来院された50代男性のO様。
特にどこか痛いわけではないけれど、全体の疲れをとるための鍼灸治療のご依頼をいただきました。
香庵の鍼灸治療では、まず仰向けになっていただき左右の足の長さのズレをチェックします。
疲労の蓄積やコリ、痛みがあると、左右の筋肉バランスが崩れて左右の足の長さのズレとして現れることがあるためです。
O様の自覚症状は特にない、とのことでしたが、左右の足の長さは右足のほうが左足に比べ1cm近く短くなっていました。また背中の筋肉の引きつれ感やコリをチェックしてみると、全体的に背中の右側が縮こまっているような身体バランスでした。
脈診(手首の動脈で全身のアンバランスをチェックする鍼灸治療の診断方法)により、全身の中からツボをひとつ選んで、そのツボに1本の細い鍼で1mm未満の深さ(浅さ?)で刺激しました。
香庵の鍼灸治療では、この時点で足の長さが揃っているかどうかをチェックします。
脈診の結果、選択したツボは確かなものだったか、その確認も兼ねています。
今回はこの鍼の刺激のみでO様の足の長さが揃ったので、さらにからだ全体をゆるめていくステップへと鍼灸治療を進めようした、そのとき・・・
香庵の鍼灸治療は、治療開始後の最初の鍼で、もう足の長さが揃うんですか?
しかも鍼は、刺したかどうかも分からないほどの刺激なのに、足の長さ、確かに揃っちゃってる!
(O様にも足の長さが揃っていることを確認していただきました)
そしたら、(他のところで受けた)骨盤矯正の意味って、なんなんですか~?
と驚かれていらっしゃいました。
O様はこれまで、いろいろなボディケアのサロンなどに行かれたそうで、骨盤矯正や足の長さを揃えることが施術目標のところにも通われていらっしゃったそうです。
骨盤矯正については、香庵の施術ではないのでお答えできないのですが、解剖学的には、筋肉の末端は骨にくっついていて、筋肉が収縮することで骨を引っ張り動かす構造になっています。筋肉が硬くなったり、引きつれてくると、慢性的に骨を引っ張り固めているような状態となって、からだの左右のバランスが違ってくることもあるのではないかと思います。
香庵の鍼灸治療ではからだに備わった「回復力」がしっかり機能することで、からだ全体のバランスが整う、と考えます。その結果、自然と足の長さも揃ってくるので施術の指標としています。
ご参考までに鍼による筋力の改善や筋肉の柔軟性への効果についての実験をご紹介しますね。
脈診をして、その診断結果に合った正しいツボに鍼をして握力を測ると、鍼をする前よりも筋力が増強して、間違ったツボに鍼をした場合は明らかに筋力が低下した、という実験結果がでたそうです。
また、鍼によって筋肉の柔軟性を調べる実験では、立位体前屈(立った状態から指先を床に付けるように上半身を倒していくうごき)で、正しいツボと間違ったツボへのそれぞれの刺激で、筋肉の柔軟性に明らかに影響が現れた、という結果もあります。(もちろん正しいツボで柔軟性はアップしました!)
鍼灸治療で最初に行う脈診は、鍼灸治療の全体像を決める大事なプロセスです。
体調の乱れやからだのバランスを整えるチカラがもともと、からだには備わっている。
だからこそ、適切な鍼の刺激によって左右の足の長さは自然に整うのではないかと思います。
O様、鍼灸治療の根幹をなす貴重なご質問、ありがとうございました。
五反田の鍼灸院 香庵(かのん)
東京都品川区大崎5-4-7ハイツ五反田203号
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