症状について
長年、服のデザイン、仕立て、お直しなどを手掛ける洋裁の仕事をしており慢性的な肩こりと右肘の痛みに悩まされている。仕事が忙しくなると、右肩からわき腹までも痛くなる。
今回、何かの拍子で腕を動かすと右肘が痛く、かなり鋭い痛みを感じて来院されたとのこと。
香庵の診断・分析
肘を伸ばした状態で腕全体をひねるように、内側、外側へそれぞれ動かしてみると、内側にひねった時に、右肘の内側に鋭い痛みを感じることが分かりました。
首を回す動きでは、肩が凝った感じはするが、特定の角度によって痛みやしびれ感は出ないとのこと。
仰向けの状態で全身のバランスを左右の足の長さで比べると、骨盤は歪んでないにもかかわらず、右足が左足の長さに比べて約5mm短くなっていました。
また、ウエストラインでは背中がベッドから浮き上がり、小さくブリッジをしている状態でした。
特に右の背中が左に比べてベッドからの浮き上がりが高く、背中の筋肉が硬くなっていました。
首を触診すると、右側全体に強いツッパリ感と、首と肩の境目付近で針金を張ったようなスジ張った感じのコリが感じられました。
このことから、右肘の痛みのため来院されたとのことでしたが、まずは、からだの右側全体をゆるめ、全身の左右バランスを整える必要がありました。
からだのベースをしっかり整えた後、右肘の痛みへアプローチする方が、良い体調で施術効果が持続するので、慢性的な痛みに対処しやすくなると判断しました。
施術内容と経過
鍼灸治療の診断技術である脈診と腹診からツボを1ヶ所選択し、1本の細い鍼で皮ふに約2 mmの深さ(浅さ?)で鍼をして足の長さのズレを再確認すると、左右の足の長さが揃い、背中もベッドとの隙間が小さくなりました。
次に、首の右側全体のツッパリ感と、首と肩の境目付近で針金を張ったようなスジ張った感じのコリを鍼灸治療の診断方法である経絡(けいらく)を使って、ひとつひとつゆるめていく治療を行いました。
全身のバランスの調整と、左右の経絡上に現れていたコリやつっぱり感を整えた状態で右肘を伸ばし内側にひねる動きを再確認しました。
「痛みがほとんどないが、右肘の内側にかすかに痛みが残っている感じがする」とのこと。
さらに、右肘の内側を通過する「経絡」と関連のあるツボを1ヶ所選択して、皮ふに約0,8 mmの深さ(浅さ?)で鍼刺激を行いました。(経絡は手の太陽小腸経、ツボは上巨虚穴を使用)
再び右肘を伸ばし腕を内側にひねる動きで確認したところ、今度は「痛みがなくなった」ということで、そのまま20分間休んでいただきました。
うつ伏せでは、背中全体をゆるめて、右肘に関連するツボを、首の骨の右際からいくつか選び* 鍼灸治療を行いました。*華佗穴(かだけつ)というツボを使い鍼刺激を行う方法です。
治療の振り返り・院長より
今回、右肘の内側に鋭い痛みがあるものの、他の症状はあまり感じていなかったというK様。
しかし首肩周りのツッパリ感やスジ張った感じのコリがゆるむのと同時に、右肘の内側の痛みも消えていったことを考えると、パーツ(右肘)だけの問題ではなかったことが明らかになりました。
毎回施術をするたびに「右肘の痛みが現れる間隔が空いて、肩も軽くなってる~!」と実感されたとのことでした。
月2回、約2ヶ月の治療で、慢性的な右肘の痛みと肩こりを改善することができました。
全身のバランスとからだの一部(パーツ)はつながっている、と東洋医学では考えますが、その基本に忠実に鍼灸治療プログラムを組み立てたことが結果に結びついたのではないかと思います。
K様からお仕事で扱われる生地やお直しを依頼される方のストーリーなどをうかがうと、とても貴重な生地やステキなストーリーが込められたお洋服のお話が盛りだくさんです。
「ひとつひとつの生地やお洋服を大事に、ご依頼された方に喜んでいただきたい!」と気持ちを込めていらっしゃるのが伝わってきます。
K様の穏やかで控えめな明るい佇まいとお仕事への姿勢に、職業が違う私も憧れてしまいます!
香庵の鍼灸治療がK様の体調へのサポートとなって、K様が出会う皆さまの笑顔につながれたら、私としても、とてもステキでうれしいことだと思います。 また次回、お待ちいたしております。
いつもご利用ありがとうございます。
五反田の鍼灸院 香庵(かのん)
東京都品川区大崎5-4-7ハイツ五反田203号
五反田駅をご利用の方
JR山手線・都営浅草線 五反田駅西口改札 徒歩5~7分(約500m)
#肘の痛み #肘 #肩こり #五反田 #大崎 #大崎広小路