約1年ほど来院されていらっしゃった50代のアメリカ人男性、P様。
肩のコリと腰痛の両方がツラく、自宅でのセルフケアもされているとのことでしたが改善しない、とのことで来院されました。
会話はすべて英語なのですが、私自身にそれほど英会話スキルがないので、ジェスチャーや鍼灸治療の診断技術を駆使してコミュニケーションを取りながら治療を始めました。
P様は、鍼灸治療が初めてとのことで、鍼やお灸を実際に目で見ていただくところからスタート。
鍼やお灸のデモンストレーションを行ってから「これを使ってケアしてもいいですか?」という確認を取ってから、鍼灸治療を開始しました。
肩のコリと腰痛では、腰痛の方がやや重い症状でした。
そのため初回の鍼灸治療では、肩コリの症状をまずしっかりゆるめて、同時に腰痛への鍼灸治療を行いました
初回の施術後、肩コリはそんなに時間がかからず改善していけること、腰痛は深部の筋肉に疲労があり、それを取るまでに多少時間がかかることをお伝えすると、翌週から定期的な鍼灸治療のご依頼をいただくようになりました。
その後、肩コリは改善し、おもに腰痛のための鍼灸治療に切り替えて集中的にケアしていきました。
仕事では馴染みのない日本の習慣への緊張や慣れない新幹線の移動もあり、腰痛が悪化することもありましたが、コツコツと治療を重ね、最近では「本当に腰痛をほとんど感じなくなった!」と喜んでいただいてました。
本日の来院では、今回の新型コロナウイルスのことで、数日前に会社から家族全員アメリカへ帰国するよう指示があったとのことで「3日後に帰国することになった」とお伺いしました。
というわけで、今回、ラスト鍼灸治療を行う事になりました。腰痛はほぼ改善していたので腰のコンディションをしっかりキープしながら、からだのベースを整える鍼灸治療を行いました。
「鍼灸治療をありがとう!あなたはとてもスキルフルです!今回、ほぼ完全に筋肉がゆるみました。アメリカへ行っても(この調子を)キープしたい!とても願っている!」
施術後にそのようなことを仰ってくださいました。(P様との英会話を直訳してます・笑)
スキルフル・・・?
と、その単語が直訳しにくかったので辞書で調べてみたら・・・!
この単語の意味を理解した瞬間、私がフリーズしたところをご想像くださいませ(笑)
P様との鍼灸治療中は、英語と日本語でお互いに言葉を出し合いながら、P様の体調のこと、鍼やお灸の刺激を受けた感覚について共有し治療を進める、という作業をしていたくらい、英会話もそんなにスムーズじゃないし、鍼灸治療の流れも、全然、器用な感じではなかったです。
「鍼を使って、こういう効果を出したい。今からその効果を出せるツボを使ってもいいですか?」
「そのために、あなたのからだに触れるけど問題ないですか?」
鍼灸治療のためとはいえ、黙っていきなり触れられるのって、結構ビックリすると思うので、毎回、そういうことをお伝えしたりもしていました。
だから「セラピストがサササ~ッ!と動いて、気が付いたら鍼されてる!」みたいな、巧みな鍼灸治療でもないし(笑)
だけど、P様が香庵の鍼灸治療を受けられたこの約1年間。
ツラい体調が回復され、時には仕事が忙しく、腰痛が悪化して来院されることもあったけど「今日のアポイントメントを楽しみにしていた!」とばかりに症状をお話してくださって、鍼灸治療によって回復される時間の流れが出来ていきました。
その間には11歳のお嬢さんや奥様も来院されるようになり、ご家族全員の鍼灸治療を通してお付き合いさせていただくようになっていました。
そうした中で「スキルフル」という言葉は、鍼灸治療によるサポートが、P様とご家族の皆さまに喜んでいただけたということなのかなぁ、と思いました。
突然の帰国はとても寂しい気持ちがありますが ”Take care!See you again!"と、お互いの無事を祈りつつ最後の鍼灸治療を行うことができました。
P様、すてきな言葉をありがとうございます!
また、日本でのお仕事再開されましたら、そして体調で何かありましたらぜひご連絡くださいませ。
ご来院お待ちしています!
五反田の鍼灸院 香庵(かのん)
東京都品川区大崎5-4-7ハイツ五反田203号
五反田駅をご利用の方
JR山手線・都営浅草線 五反田駅西口改札 徒歩5~7分(約500m)