「ゆるめないでほしい」が希望の鍼灸治療(戸越銀座・戸越 鍼灸院)
- 8月24日
- 読了時間: 6分

【本日の目次】
こんにちは 香庵です。
今回は、先日来院された50代男性I様との、ちょっと意外なやりとりから。
香庵では、「しっかりゆるめてほしい」というご希望だけでなく、
「今日は、あまりゆるめないでほしい」
というご希望をいただくことがあります。
えっ?鍼灸治療なのに、ゆるめないの?と思われるかもしれませんね(笑)。
でも、これも、その方にとっては大切なご希望なのです。
「こういう鍼灸のやり方もあるのか~」や「こういう鍼灸院もあるんだ~」と、一つの情報としてシェアできたらうれしいです。
「今日は、ゆるめないでください」
定期的に香庵へ来院されている50代男性のI様。
いつも、忙しいお仕事がひと段落するタイミングをご自身の手帳で確認されてから、次回のご予約をされる方です。
そのため、来院されるときは、
「無理を重ねて、全身が疲労困憊しているのは分かってます。単にコリがあるってだけじゃないのも分かってます。(鍼灸治療で強い刺激のある鍼をされたとしても)覚悟の上で来てますから!」
...とのこと(笑)
そして、
「このあとの予定は何もないので、ガッツリゆるめてください!なんなら、かなりダルくなっても大丈夫です!」
...と、おっしゃいます。
そんなI様が、今回来院されるなり、
「あの~……今日は、ゆるめないでください……」
と!
……えっ!?ど、どうされました?
理由を伺うと、施術後にお仕事で重要なご用事が急遽入ってしまったそうです。
「ガッツリゆるんだら、仕事したくなくなっちゃうから、マズいんです(笑)」
I様は、この日、「ゆるめないで」というオーダーを、そもそも鍼灸治療でしていいのか自体を悩まれながら、来院されたとのことでした。
でも、施術前の段階でI様のご予定をお伺いして、今回の鍼灸治療の方向性を決めていけたので、オーダーしていただいてよかったです。
ということで、I様に治療室へ入っていただきました。
「しっかりゆるめる」が、いつでも正解とは限らない
今回は、コリによって突っ張ったり、引っ張られたりしている筋肉はゆるめてバランスを整えながら、
「ガッツリゆるんで何もしたくなくなる」ほどにはしない。を第一の主題に置きました。
そして、本来のI様のお身体のコンディションを取り戻しながら、お仕事モードにもスッと切り替えられるところを目指して、施術を組み立ててみることにしました。
鍼灸治療というと、
「身体をゆるめる」
「コリを取る」
「痛みを改善する」
ということが、良いこととしてイメージされることが多いと思います。
もちろん、それが必要な方もたくさんいらっしゃいます。
でも、実際の臨床では、
「身体がゆるまること」と「その人にとって良い状態」が、いつでもイコールとは限らない。
そんな場面に出会うことがあります。
「あまり本気でやらないでください」
実は、香庵に来院される方の中には、以前から「あまりゆるめないでほしい」というリクエストをされる方がいらっしゃいました。
そのほとんどは、芸能関係のお仕事をされている方や、身体表現をお仕事にされている方。
舞台やステージの直前に身体をしっかりゆるめてしまうと、いつも以上に関節の動きが大きくなったり、予期しない筋肉痛が出たり、「表現」の仕方が変わりすぎてしまうことがあるのだそうです。
もう何年も前のことですが、ある伝統芸能の世界で活躍されている方から、
「あまり本気でやらないでください」
と言われたことがあります。
当時の私は、
「鍼灸治療を通して、少しでも喜んでいただきたい!」
「そのために、技術や理論を高めていこう!!!」
と思っていたので、
「え~~~~!?じゃあ、どの方向で頑張ればいいんだ、私~~~~!?」
と、大混乱!!!(笑)
「治そうとしなくていいからね~」
また、ある方からは、
「治そうとしなくていいからね~。また、すぐ来るし!」
と言われたことも。
「治そうとしない鍼灸院に、また来る……とはっ!?」
これまた、
「やっぱり、どの方向で頑張ればいいんだ、私~~~~!?」
と、大いに悩みました(笑)
でも、今振り返ってみると、この頃の私は、
「身体をゆるめるのが正しい」=「その人にとって良いこと」
と、どこかで同じものとして考えていたのだと思います。
教科書の「正解」と、その人の「正解」
その後、時間はかかりましたが、
「その方のお身体が今どうなっているか」
だけではなく、
その方がどんな生活をしていて、どんな仕事をしていて、施術の後どうなりたいか。
そこまで含めて、その方のライフスタイルをサポートする鍼灸治療とはどういうものなのか、を、考えるようになりました。
教科書的には「こうするのが良い」とされていることでも、臨床の現場では、それが必ずしも全員にとっての正解とは限りません。
たとえば、
「今日は、とにかく休みたい」という方と、
「今日は、このあと仕事で全力を出したい」という方。
同じように身体が疲れていても、目指したい状態は違います。
だから私は、
「今のお身体に何をするのが正しいか」だけではなく、「今日このあと、どんな状態で過ごしたいのかな?」も大切にしたいと思っています。
それでも、毎回ちょっとびっくりします(笑)
……とはいっても、ご予約のお約束時間が近づくと、
「前回の施術はどうだったかな?」
「今回は、こういうことをご提案できるかな?」
...と、その方のお身体の状態を思い浮かべながら、ある程度施術内容を用意したり、シミュレーションしたりしてお待ちしています。
なので、
「今日は軽めで。ガッツリやらなくていいです」
と言われると、今でも毎回ちょっとだけ、びっくりしてしまうんですけどね(笑)
それでも、
「え~~~!?なんで~~~!?」
...と、オロオロしていた頃に比べると、ずいぶん成長したなぁ……と思います(;^ω^)
「では、今日はどうしましょう?」と、一緒に考えられるようになったこと。
これも、自分の中では、長く臨床を続けてきたからこその変化なのかなと思っています。
この「実験」がうまくいけば・・・
I様の「今日はゆるめないでほしい」というご希望を取り入れた施術の後、
「この“実験”がうまくいけば、ゆるめたい日も、鍼灸治療のあと仕事があっても、どちらでも来やすいってことですね!」
と、笑顔でおっしゃってくださいました。そして、次回のご予約もいただきました。
今回の施術がI様にとってどんな結果になったのか、次回のご予約の日に、教えていただくお約束も。
まだ一日の夏の暑さが残る、夕暮れ前に、そのままお仕事へ向かわれたI様。
お疲れ様です!
香庵では、お身体の状態だけを見るのではなく、
「その方が、そのあとどう過ごしたいのか」
も大切にしながら、施術を考えています。
「今日は、しっかりゆるめてほしい」という日も、
「今日は、あまりゆるめないでほしい」という日も。
その日のご自身に合った鍼灸治療を、一緒に考えていけたらと思っています。
I様、今回の「実験」の結果、次回のご予約の日にお伺いできるのを楽しみにしていますね!
戸越銀座・戸越の鍼灸院 香庵(かのん)について

当院の院長、加藤は国家資格を取得しております
・鍼師(2000年~)
・灸師(2000年~)
・あん摩マッサージ指圧師(2000年~)
また、第43回日本伝統鍼灸学会学術大会、世界鍼灸学会連合会学術大会WFASなどにて発表経験もあり、研究成果の発表も行っております。
場所:東京都品川区戸越2-6-38 toritor(通リ通ル) Room 1
戸越銀座駅・戸越駅をご利用の方
東急池上線 戸越銀座駅・都営浅草線 戸越駅 徒歩5~7分(約500m)





