「どうして、こんなに背中や腰が痛いんだろう……」|がんばることがいつの間にか当たり前になっていた50代男性の鍼灸治療(戸越銀座・戸越 鍼灸院)
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【本日の目次】
「どうして、こんなに背中や腰が痛いんだろう……」
こんにちは。香庵です。
今回は、がんばることが「普通」だった50代男性の鍼灸治療をご紹介します。
定期的に来院されている50代男性のI様。
最近、会社内での役割が変わり、お仕事の内容も責任も重くなったことで、以前にも増して強いコリや痛み、疲労感を感じているとのこと。
静かに寝ているだけなのに、背中が痛い
この日の鍼灸治療では、仰向けになっていただくと、肩がベッドから少し浮き上がり、ウエストの後ろ側も反って、まるで身体がブリッジしているような状態でした。
背中や腰など、お身体の後ろ側の筋肉が縮こまって、ゆったりとベッドに身体を預けることが難しいように見えました。
I様は、
「静かに寝てるのに、背中が痛くて寝ていられないです。ま、いつものことですけど」
...と、淡々とおっしゃいます。
頭では、「今は寝る時間なんだから、休んでいい」と分かっていても、お身体のほうは、なかなか休むことができない。
窮屈で、苦しくて、痛みを感じている・・・そんな状態でした。
まずは、全身をガッツリゆるめる
まずは、全身の筋肉の緊張をゆるめ、左右のバランスを整える鍼をして、しばらく休んでいただきました。
今まで縮こまっていた筋肉の緊張を少しずつ解いていくことで、お休みの間にスッと深い眠りに入られたようで、寝息を立てながら休まれていました。
その後、うつ伏せになっていただくと、背骨の際に特徴的なコリが連なっているのが見つかりました。
そこを中心に、さらに鍼灸治療を行いました。
「どうして、こんなに痛いんだろう?」I様のつぶやき
施術の途中で、I様がつぶやくように、
「どうしてこんなに背中や腰が痛いんだろう……」
...と、おっしゃいました。
実は、この言葉は今回だけではありません。
I様は毎回のように、
「どうしてこんなに身体が痛いんだろう」
...と、不思議そうにおっしゃいます。
もちろん、お仕事のハードさもあります。
責任の重い立場で、プレッシャーもあるのかな、と思います。
周囲への気遣いも必要です。
心身ともに疲れが溜まりやすい環境にいらっしゃることは、間違いないと思います。
でも今回は、少し違う方向からI様のお疲れを見てみようと思いました。
「がんばる」が普通だった時代
1970年代生まれ・団塊(だんかい)ジュニア世代・第二次ベビーブーム世代のI様。
I様が子どもから大人になり、社会に出ていくまでの間には、
競争の多い受験の時代があり、
就職氷河期があり、
就職してからも、
「お前の代わりなんて、いくらでもいる!」
...と言われるようなことがあった時代だったそうです。
もちろん、夜中でも仕事の電話がかかってくる。それが「仕事というもの」とされた時代でした。
特に詳しい指示がなくても、
「よろしくやっといてよ!」
と言われれば、空気を読んで何とかする。
そういうことが、
「普通」
とされていた時代だったそうです。
……今、改めて振り返ると、なかなかハードですよね(;´∀`)
転んでも「大丈夫?」と言われない世界
I様が子どもの頃の話にもなりました。
たとえば、道でつまずいて転んだときの話です。
膝を擦りむいて血が出ていても、
「何やってるの!」
「ちゃんと見てないからでしょ!」
「泣くんじゃない!」
...と、怒られる。
転んだことや痛みそのものよりも、
「転んだ自分が悪い」
「不注意だと自分が損する」
「しっかりしていないとダメ」
...という考え方が当たり前の世界で・・・
それが、I様にとっては「普通」の世界だったそうです。
ところが現在、I様の奥様は、お子さんが転ぶと、
「痛いねぇ~~~!大丈夫?」
...と、お子さんに駆け寄るのだそうです。
その光景が、I様にとっては大きなカルチャーショックだったそうです。
「えっ!? 転んだら『大丈夫?』って心配してもらえる世界があるのか~~~!!!」
転んだら怒られる。
失敗したら怒られる。
「だからアンタはダメなのよ!」
...と、失敗したことだけじゃなく、自分自身をまるごと否定されたかのような言葉で怒られる。。。(´ノω;`)
そんな世界しか知らなかったI様にとって、
人が失敗したときには、まず心配する。痛かったことを一緒に感じる。
そんな優しい世界が存在すること自体が、驚きだったのだそうです。
ダイジョウブ~?(*´ω`)......(・ω・`)エッ?
自分が言われたことのない言葉を、今は部下に言っている
そして現在。
I様は、根性論で頑張ることが当たり前だった環境を生き抜いてきたことで、
「精神的にタフで、現場の実務にも圧倒的に強い」
という評価を受け、会社の中でも責任の重い仕事を任されることが多くなったそうです。
でも、立場が変わり、今度は自分が上司になった。。。
すると今度は、若い世代に、
「無理しないでいいからね~」
「やれるところまででいいからね~」
...と、声をかけるようになったのだそうです。
自分たちは、誰からも言われたことがない言葉。
それを今、自分が若い人たちに言っている。。。
「なんか、すごく変な感覚があるんですよね~」
と、I様は笑います。
でも、私はその話を聞いていて、
自分が知らなかった優しい世界を、今度はI様自身が次の世代につないでいるんだなぁ~
I様、めっちゃくちゃがんばってらっしゃるなぁ~・・・
...と、思いました。
「がんばってるね~」からの、昭和(笑)
そんなお話をしながら、施術を続けていました。
そして、「優しい世界では、きっとこんな言葉たちで溢れてるんじゃないですか~?」と、優しい世界に存在するであろう「優しめワード」をピックアップしていきました。
例えばこんな感じです。
「I様、がんばってるね~」
「いつも皆のために気を使ってるね~」
「少し休もうか~」
「ちょっと頑張りすぎだよ~」
「大丈夫~?」
「無理しなくていいからね~」
「できるところまでやったら、休憩しようね~」
I様が生きてきた世界では、I様自身に向けて言われることは、おそらく少なかったであろう言葉たち・・・のはず(笑)
ここまで、I様、無言でただ聞いているだけの状態だったのですが、
「……か~ら~の~?」って言った瞬間、
「ハッ!!!(゚Д゚)」と、I様の目がキラリ☆と光って、
「まだ終わってないのか!」
「お前の代わりなんていくらでもいる!」
「上司が黒って言ったら、白いものも黒!」
「電話は1回のコールで取る!」
「遅い!」
「さっさとしろ!」
「人に頼るな!」
「だからお前はダメなんだ!」
まるで水を得た魚のように次々に出てくる!出てくる!!昭和の厳しめワードたち!!!
I様、昭和の厳しめワード、どんだけストックしてるんですか~~~!?
くぅ~~~~っ……!!!
昭和って、厳しいですね~~~~!!!
I様も大爆笑しながら、そんな言葉を交互に重ねながら(笑)鍼灸治療を続けていました。
心も身体も、少しずつゆるんでいく
施術後、首から肩、お背中、腰まで触れてみると、それまでの強い緊張が、
ふにゃッ。
と、柔らかくゆるんでいました。
I様本来の、リラックスしたお身体の状態を取り戻していただくことができました。
お顔の血色もよみがえり、表情もやわらかくなり、
「痛みも、もう感じないです」
...とのことで、この日の施術を終了しました。
今回お身体がゆるんだのは、昭和トーク(笑)をしながらも、筋肉の緊張を丁寧にゆるめることで、I様本来のお身体の状態を取り戻されたことが大きいと思います。
でも同時に、
「どうして、こんなに身体が痛いんだろう」
ということを、少し違う角度から眺めてみたときに、
「あぁ~、とにかくがんばることが、普通だったよね」
...と。
そして今も、あの頃の「がんばるのが普通」という感覚を持ちながら、「当たり前のようにがんばっている」ご自身の心とからだの状態に気づかれたことも、お身体がゆるむきっかけになったのかな、と思います。
「……いや、でも今考えると、かなり厳しかったよね~(笑)」
...と、笑いながら話す時間を過ごしていただくことができました。
I様にとって少しでも心身の緊張をゆるめる時間になっていたらいいなと思いました。
「がんばる」だけじゃない世界がある
もちろん、昭和を生きた人が、みんな同じ経験をしてきたわけではないと思います。
I様の場合も、今まで生きてきたすべてのことが、現在のコリや痛みの原因になっているとは...限りません、たぶん。。。
ただ、I様のお話を聞いていると、
がんばる
人には頼らない
根性で何とかする
空気を読む
迷惑をかけない
そんなことを当たり前のように求められる中で、長い時間を過ごしてきたことが、現在のお身体の強い緊張とも、どこか無関係ではないように感じることがありました。
「いやぁ~、昭和の時代って、なんだったんでしょうね~~~☆」
「厳しすぎますよね~~~!」
そう笑いながらも、
あの頃の自分を否定するのではなく。
あの頃、がんばって生きてきたことも肯定しながら。
そして今、目の前にある奥様とお子さんの優しい世界の中で。
I様ご自身も、
人から優しく接してもらっていい。
自分自身にも、少し優しくしてもいい。
そんなことを、ほんの少しでも感じていただけたらいいなと思っています。
もちろん、また次回のご予約の日には、
また、バキバキに硬くなって来られるかもしれませんが(笑)
肩も、
背中も、
腰も.....
バキバキに硬くなって、コリや痛みを感じながら...
また、来院されるかもしれません(;^ω^)
でも、それでもいい。
香庵がI様にとって、
身体をガッツリゆるめる場所であり、
心と身体にたまった緊張を少し手放す場所であり、
そして、
「昭和って、だいぶハードだったよね~~~!!!」
...という話を笑いながらできる場所でもあったら。
そんなふうに、I様の回復をサポートできたらうれしいなと思っています。
戸越銀座・戸越の鍼灸院 香庵(かのん)について

当院の院長、加藤は国家資格を取得しております
・鍼師(2000年~)
・灸師(2000年~)
・あん摩マッサージ指圧師(2000年~)
また、第43回日本伝統鍼灸学会学術大会、世界鍼灸学会連合会学術大会WFASなどにて発表経験もあり、研究成果の発表も行っております。
場所:東京都品川区戸越2-6-38 toritor(通リ通ル) Room 1
戸越銀座駅・戸越駅をご利用の方
東急池上線 戸越銀座駅・都営浅草線 戸越駅 徒歩5~7分(約500m)





