今、一番大切なことにエネルギーを向ける|元気を取り戻す鍼灸治療 30代女性(戸越銀座・戸越 鍼灸院)
- 8月13日
- 読了時間: 8分

【本日の目次】
自分以外のことを優先することで現れる不調
今回は、長く日本で生活されている30代の外国人女性、A様のお話です。
A様は以前から定期的に香庵へ来院されています。
日々の生活の中で、自分のことよりも家族や周囲のことを優先する時間が長く続き、心身ともに疲れがたまっているような時期もありました。
治療中には、お身体のことだけではなく、ご家族のことや、遠く離れて暮らすご家族に会いたいという気持ちについても、よくお話をしてくださいました。
「いつか、家族に会いに帰りたい」
A様は長い間、母国の事情もあり、帰国することができないまま、
「お母さんや家族に会いたい」
という気持ちをずっと持っていました。
今は電話やSNSを使えば、遠く離れた家族とも顔を見ながら話すことができます。
これまでも、お母様やお兄様とは母国ではなく、隣国で数日間を過ごす、という形で、直接会える機会はありました。
それでもA様が望んでいたのは、ただ家族の顔を見ることだけではありませんでした。
自分が子どもの頃に暮らしていた場所へ帰り、親戚や家族と一緒に過ごしたい。
A様の中で、その思いが大きく、強くなっていったそうです。
以前、治療中にA様がこんな話をしてくれたことがありました。
親戚がみんな集まって、食卓を囲んでいると、親戚の中で、一番仲の良い叔母様が、
「ほら、これ持っていきなさい!」
「これも食べなさい!」
「これ、袋に入れといたから、ねっ!!!」
と、いつもあれこれ世話を焼いてくれるのだそうです。
A様はそんな叔母さんのプレゼントや大量のお菓子を持たせようとすることに呆れながら、
「そんなにいらないよ~!」
「多すぎて食べきれないよ~!」
「こんなに持って帰れないよ~!」
と、毎回のお約束のようなやり取りがあると話してくださいました。
ほかにも荷物があること、飛行機で帰るのに持って帰れる量じゃないってこと、何回も説明して、何回も断るのに、それでも「持っていきなさい!」「食べなさい!」と言われる。
「私、そういうのをやりたいんです!あぁ、話してたら、私って、めんどくさい人、ですね~!(笑)」
と、笑いながら話されていたA様。
でも、その思い出は、どんなに景色がよくて素敵な場所へ行くこととも、どんなに贅沢で高級でおいしいものを食べることとも違う、A様にとって大切な時間だったのだと思います。
家族や親戚に囲まれて、ちょっと面倒なくらいに構ってもらう。
A様が小さいころから馴染んだ、懐かしいあの風景とそんな時間を、もう一度過ごしたかったのです。
ようやく、自分のための一歩を踏み出すことに
そんなA様が、ある日、来院されたときに、
「母国に帰ることを決めました!私一人で。少しまとまった日程で帰るつもりです!」
と、少し興奮気味におっしゃいました。
「自分のやりたいことを優先してみよう。」と、ふと、思ったとのこと。
子どものことはご家族にお願いして、自分一人で帰ることを決め、航空券も購入して。
ところが、帰国に向けた手続きが思うように進まなかったり、無事に入国できるのか心配になったり、さまざまなことが重なり、出発を目前にしても気持ちは揺れていました。
出発直前、身体に現れた帯状疱疹
そして、フライトの2日前。
A様の身体に帯状疱疹が出ました。
体調について医療機関にも相談し、医師からは、薬をきちんと服用していれば渡航して問題ないと言われ、「家族に会ってきたら?」と背中を押してもらったとのこと。
それでもA様の中には、
「帯状疱疹になったのは、行かないほうがいいってことかな...」
「本当に行ってもいいのかな......」
という迷いが残っていました。
そんな状態で、A様は香庵に来院されました。
そもそも帰りたかったのはなぜ?を思い出してもらいました
「お母さんや家族に会いたい」
「自分が子どもの頃に暮らしていた場所に帰りたい」
「親戚のみんなと一緒に過ごしたい」
そう話していたA様。
そして今は、その願いを実際に叶えるために、自分で航空券を買い、出発の2日前まで来ています。
そこで、A様がずっとやりたいって言っていたことを、もう一度、思い出してもらいました。
「お母さんや家族に会いたい」
「自分が子どもの頃に暮らしていた場所に帰りたい」
「親戚のみんなと一緒に過ごしたい」
家族や親戚に囲まれて、ちょっと面倒なくらいに構ってもらう。
あの懐かしくて、温かくて、安心できる、あの空間にご自身の心とからだを思いっきり浸したい!という思い。
「A様がやりたかったことが、もうすぐできるところまで来てるんですよ...ね?(。´・ω・)」
と、聞いてみました。
そして、
「やりたいって思ったことを今回諦めても、A様は元気に日本で過ごすことができるかな?帯状疱疹が治ったら、元気になるのかな...?」
…って、聞いてみました。
「ならないね。ぜんっぜん元気になる気がしない(笑)」とA様、即答でしたΣ(´∀`;)
そして、実はA様のご友人が母国の空港に迎えに来てくれることになっていて、
「いろいろ言ってないで、いいから来なさい!!!」
って、強く言ってくれているとのこと。
それに対して、A様は「はいっ!」とお返事をされたとのこと(笑)
そこまでA様のお話をお伺いしてきて、
「じゃぁ、そのお友達の言うことを素直に聞くしかないのでは?行かなかったら怒られちゃいますよ?それに、ご家族も親戚の叔母様も楽しみにしてくれてるなら、もう行くしかないですよねっ♪(笑)」
と。
そして、
「まずは、その飛行機に乗りましょうか~?」
という話になり・・・
A様は少しほっとしたような表情になり、
「そうだよね。お母さんや家族の顔を見ないと、このまま元気にならないままなのは、私だって嫌だよね」
と、お話してくれました。
帰ることを迷っていた表情が少しずつ和らぎ、最後には笑顔を見せてくれました。
次回の予約を取らなかった理由
香庵では「次回の予約はいつにしますか?」と聞くことがありません。
来院された方が安心してお身体を整えられる場所でありたいという思いからなのですが、施術が終わると、ほとんどの方から、
「次の予約をしたいのですが……」
とおっしゃっていただき、次回のご予約をお受けすることがよくあります。
A様も普段はそのような流れで、次の予約をされて帰られます。
今回も、母国への出発前に日本へ戻ってこられてからの予約をしようとされました。
でも、今回はあえて、次のご予約を取るのはストップしましょう、ということにしました。
「日本に帰ってきてからのことを決めちゃうよりも、母国に行くことにフォーカスしましょう♪」
とお伝えしました。
今のA様に一番大切なのは、次の鍼灸治療の予定を考えることではなかったから。
今のA様が優先すべきは、自分がずっと会いたいと思っていた家族に会いに行くこと。だったから。
だから、
「今は自分の国に帰って、ご家族と会うことだけをめちゃくちゃ楽しみにしましょう!日本に戻ってきたら、また連絡していただくの、待ってますからね~!」
とお見送りしました。
「自分を大切にする」ということ
自分を大切にするというと、何か大きなことをしなければいけないように感じるかもしれません。
でも、私はそうではないんじゃないかな、と思っています。
そのときの自分にとって、
「今、一番大切なことは何だろう?」
と考えてみる。
そして、できる範囲で、そこに少しだけエネルギーを向けてみる。
それだけでもいいのだと思います。
もちろん、いつでも思うようにできるわけではないかもしれません。
できなかったら、
「あぁ、今日はできなかったね」って。
(責めるわけでもなく、できなかったことを認める、でもなく、そっと、できなかったね、で止める感覚です)
それだけでもいい、そうしてみよう、って思った自分、えらいっ♪くらいでもいいと思います。
いつか身体や心に少し余力があるときに、
「これなら、できるかもしれない」
と思える日が来るかもしれませんものね。
その時に動くほうが、ピュアにうれしい感覚とともに、意外にスッと動けちゃうかもしれません。
今回、A様はずっと心の中にあった、
「家族に会いたい」
という気持ちを大切にして、自分のために一歩を踏み出されました。
香庵では、鍼灸治療によって身体の緊張をゆるめ、お身体が本来持っている柔らかく軽やかに動きやすい状態へ整えていくこと。
そして必要なときには、その方が自分自身の気持ちを整理し、今の自分にとって大切な一歩を踏み出していくことを、そっと支えていけたらと思っています。
その後、A様が無事に出発できたかどうかは、まだ私には分かりません。
ただ、先日、A様のご主人からお電話をいただきました。
同じ日にA様とご主人のご予約枠2枠分を確保していただきました。
A様がずっと楽しみにしていたご家族との時間を、たくさん過ごせていますように。
また、香庵へ来院されたときには、
「A様、おかえりなさい♪」
と、笑顔でお迎えできることを楽しみにしています。
戸越銀座・戸越の鍼灸院 香庵(かのん)について

当院の院長、加藤は国家資格を取得しております
・鍼師(2000年~)
・灸師(2000年~)
・あん摩マッサージ指圧師(2000年~)
また、第43回日本伝統鍼灸学会学術大会、世界鍼灸学会連合会学術大会WFASなどにて発表経験もあり、研究成果の発表も行っております。
場所:東京都品川区戸越2-6-38 toritor(通リ通ル) Room 1
戸越銀座駅・戸越駅をご利用の方
東急池上線 戸越銀座駅・都営浅草線 戸越駅 徒歩5~7分(約500m)





