【本日の目次】
自律神経を整えたい、というお悩み
緊張しやすい方や日常的にストレスを感じている方からのご相談で多いのが、自律神経を整えたいというものです。
特定の音や空間、その場の状況などで強く緊張感を感じて、心臓がドキドキしたり呼吸が速くなったりしてしまう、というお悩みの方からのご相談をいただきます。
自律神経のしくみ
自律神経は、からだの機能を自動的に調整している神経ネットワークです。
例えば、寝ているときに体内の機能について1つ1つ考え続けなくても、心臓は自動的に動き続け、呼吸器系は自動的に呼吸をして、胃は食べ物を消化して腸に送り、栄養を吸収したり排泄を促したりしています。
自律神経は、そのような身体のさまざまな機能を管理し、バランスを保つ役割を果たしています。
自律神経は、身体にとって、まるで優秀な秘書のような存在なのです。
仕事に集中している間も、心臓は勝手に動き続け、呼吸や消化などの機能を管理しています。それによって仕事に専念できる一方で、生きるために必要な身体の機能が効率的に処理されます。
ストレスや緊張が高まると、この自律神経系の反応が顕著になります。
呼吸が速くなり、心拍数が上がりドキドキすることがあります。そして、その反応に驚いて、抑えようと焦ることでこの反応がさらに加速する可能性もあります。
自律神経が脳に伝えていること
ここからは、緊張しやすい方や日常的にストレスを感じている方で自律神経の働きについて知っておくと役に立つんじゃないかな?という情報をシェアしますね。
強く緊張感を感じて、心臓がドキドキし始めると、呼吸も速くなってしまうことに焦りを感じるという方は、これからご紹介する内容で落ち着きを取り戻すきっかけをつかみやすくなると思います。
それは、自律神経と脳のつながり、メカニズムのことなんです。
脳はからだが今、どんな状態でいるのかを常にモニターしながら読み取っています。
たとえば、自律神経が「心臓がドキドキして脈が速くなったこと」を脳に伝えると.....
脳は自律神経から伝えられた「脈が速くなった」ということを「身体からの情報」として読み取ります。
そして「心臓がドキドキしてるということは、全身に血液を素早く循環させないといけない状況なんだな。~by 脳」と理解します。
次に、脳は身体がその状況にうまく対応できるようにするために他の臓器に働きかけます。
このとき1番に働きかける臓器が肺を含む呼吸器系なのです。
脳は「それなら酸素も全身に配ったほうがいいよね!酸欠になったら生きにくいもんね!だから呼吸を速めよう!酸素も素早く循環させるように、呼吸器系に命令をだそう!」とします。
その結果、自律神経系のネットワークによって、心臓がドキドキし始めると呼吸も速くなる、という反応が起きるようになっています。
さらに脈拍や呼吸が速くなることで、筋肉にも多くの血液が流れ込みます。
全身の血液循環が良くなることで、身体は「いつでも素早く動けるように!」と準備をし始めるので、体温が上がって、余計な熱は汗として出す、という反応を起こします。
周囲の状況に敏感に反応できるように全身で準備をしようとします。
これが、緊張すると心臓がドキドキしてきて呼吸が速くなり、カァ~ッと熱くなって、汗が噴き出してくる、という一連の反応です。
これらの一連の身体の反応は、自律神経と脳との連係プレーによって起きています。
心とからだを支える自律神経の役割
そもそも、自律神経というのは、もう何億年も前に地球に生物が誕生したときから備わっている神経のメカニズムなのです。
敵から身を守ったり、仲間同士の絆を深めたり、子孫を残したりと、生き残る確率を高めるために引き継がれた身体のしくみが自律神経にはあります。
自律神経は、生きていくための身体の機能すべてに関わっているため、その働きはとにかく広範囲です。
そして、私たちの意思とはほとんど関係ないところで自動的に働いているため、完全にコントロールするというのは難しいのです。
もしも、自律神経の働きを完全にコントロールできたとしたら・・・?
心臓の働きや呼吸、睡眠のリズム、消化吸収排泄、免疫機能、多くのホルモンの働き、細胞の働きすべてに、24時間、一生、気を配り続けていないといけないということになってしまいます( ̄▽ ̄;)
そんなことしてたら、自分が「今やりたいこと」に集中することができなくなってしまいますよね☆
だからこそ、自律神経には、裏方として心とからだをしっかりと支えていてほしいんですよね。
でも、自律神経の働きはまったくコントロールできないものなのでしょうか。
「自律神経の乱れ」という言葉があるし、病院でそのように診断された方もいらっしゃるかもしれません。
そんな自律神経の乱れを和らげたり改善した利する方法はないのでしょうか。
実は、自律神経の働きをコントロールできる方法はあるんです。次に、その機能についてご紹介します。
自律神経をコントロールできる機能
実は、自律神経の働きの中でもコントロールできる機能があります。
それが呼吸です。
呼吸は、寝ているときや何かに集中しているときは、自律神経の働きによって、無意識で行っています。
しかし、呼吸は意識的にも行うことができます。
意識的に呼吸を行うことで、自律神経系に働きかけることができるという特徴をもっています。
落ち着きを取り戻したいときの呼吸
落ち着きを取り戻したいときは、深呼吸が有効です。といっても、実は、この深呼吸、いきなりし始めるのって、ハードルが高いケースもあります。
とくに緊張しやすい方や日常的にストレスを感じている方の場合、心臓がドキドキしたり呼吸が速くなったりしているときに、いきなり深呼吸するのは難しいから、なんですよね。
まずは、いきなり深呼吸しよう!とするのはやめましょう☆
「がんばって深呼吸しなきゃ!」と思うこと自体が、さらに緊張状態を引き起こしてしまうのを防ぐためです。
心臓がドキドキしたり呼吸が速くなったりしているとき、2つの方法をご紹介します。
落ち着きを取り戻す呼吸法
1.呼吸の長さを調節する
吐く息を吸う息の2倍以上長く吐いてみる、という方法です。
ハァハァハァハァハァハァハァハァ......と呼吸が速くなっていたとしたら、
ハァハァ~スゥハァ~スゥハァ~スゥハァ~~スゥハァ~~......という感じです。
呼吸が速くなっているときにいきなりゆっくり大きく息を吐く、というのはかなり無理があります。
だから最初は短い呼吸でも大丈夫です!少しずつ、吐く息を吸う息の2倍の長さで吐くようにしてみるところからスタートしましょう。
慣れてきたら、徐々に吐く息を長く、ゆっくりと行うようにしてみましょう。
2.ろうそくの火を吹き消すイメージを使う
イメージを使って行う呼吸法の1つをご紹介します。
片腕をまっすぐ前に伸ばし人差し指を立てます。
ろうそくの火を吹き消すイメージで人差し指の指先に息を吹きかけます。
ふぅ~~~って吹いた息が人差し指の「指先」に感じられるようにします。
5~10回ほど集中して息を吹きかけることを繰り返します。
何かに集中するものがあった方が呼吸がしやすいというタイプの方にはこの方法が合っているかもしれません。
どちらも、呼吸を使って自律神経を整える方法です。
ある特定の状況で強く緊張感を感じて、心臓がドキドキしたり呼吸が速くなったりしてしまう、とお悩みの方は、ご自身のおからだの機能をつかって自律神経を整える方法、ぜひ活用してみてくださいね!
深呼吸によって呼吸がゆっくりになると、心臓のドキドキも収まってきて脈拍も安定してきます。
安静時の脈拍数は通常、1分間に70〜80回です。
動脈の拍動が15秒間でどれだけ打ったのかを数えて、それを4倍(15秒×4=60秒)して1分間の安静時の脈拍数としてもOKです。
あくまでも安静時の脈拍数なので、動いたり、歩きながらだと正確な数値が出なくなってしまいます。
上記の落ち着きを取り戻す呼吸法で、呼吸がある程度ゆっくり行えるようになって、さらに心臓のドキドキが収まってから計測しましょう。
また、脈拍数を計るクセを付けておくと便利です。
どんな状況で自分の身体は緊張状態の反応が起きやすいのか、どのくらい深呼吸をすれば落ち着きを取り戻すことができるのかも知ることができるようになります。
緊張しやすい方や日常的にストレスを感じている方は、この自律神経系のメカニズムを理解し、深呼吸を取り入れることでリラックス効果を得ることができます。
自律神経系の症状が気になる方は、ぜひ活用してみてくださいね!
自律神経を整える鍼灸治療
香庵では、緊張しやすい方や日常的にストレスを感じている方の「自律神経を整えたい」というご依頼で鍼灸治療を行っています。
自律神経系のお悩みの方のおからだの状態を診断すると、常に全身が緊張して硬くこわばっている方が多いです。
また、このようなお身体の状態も、脳が自律神経を使って読み取っています。そのため、脳から「緊張しなければいけない状況に今、あるんだな?それなら対処しなければ!」という命令が全身に出てしまい、緊張状態が加速してしまっていると診ていきます。
脳は、からだが今、どんな状態でいるのかを常にモニターしながら読み取り、その情報に合う身体の反応を引き出そうとしているだけなのですが...それが、逆効果になってしまっていたり、間違って読み取らせてしまっている状態を確認します。
鍼灸治療では診断結果から、おからだの緊張をゆるめて、硬くこわばってコリが強いところを取っていきます。
血流を促して、リラックスしたお身体の状態や弾力のある柔らかな筋肉の状態を取り戻していくように施術を行っていきます。
自律神経と脳のつながりを利用して、リラックスしている状態を脳に伝えることで、自律神経のバランスを整えていきます。
また、あまりにも長期間にわたって緊張が強い方の場合、外界から受ける刺激に対してバリアを張るチカラが落ちていることがあります。
それは、皮膚表面まで温めるチカラがなく、お腹や背中上部、手や足の末端の皮ふがヒヤ~ッと冷たくなっていることで診断していきます。
しかし、この皮ふの冷たさは寒さとは違い、ご本人には自覚がないことが多いこともあります。そのため、一緒に確認して共有していきます。
自律神経のバランスを取り戻してくると、このような皮ふの冷たさは緩和されていくことが多いです。
自律神経にお悩みの方にとって、ご自身のおからだがポカポカと温かく柔らかくしなやかに動けるということは、自信や安心を感じるうえでも必要なことではないかな、と思います。
そもそも自律神経は、生きものが地球に現れたときから備わっている、生き残るために必要なパーツです。
進化の過程で常に私たちの生命維持の役割とともに寄り添ってきた自律神経は、生命にとって一番なじみ深い身体の大事な一部です。
先祖代々受け継がれてきた自律神経ネットワークシステムは、身を守りながらも生き生きと楽しく生きていけるようにと願ったご先祖様からのお身体に残された愛のメッセージです。
自律神経の乱れを感じる時というのは、おからだ全体の不調や呼吸が浅くなっていることのサインでもあるので、呼吸からのアプローチやお身体全体のケアなどでご自身のこと、優しくいたわってあげてくださいね。
香庵での鍼灸治療を通して、自律神経の乱れにお悩みの方のサポートができましたらうれしいです。
五反田の鍼灸院 香庵(かのん)について
当院の院長、加藤は国家資格を取得しております
・鍼師(2000年~)・灸師(2000年~)・あん摩マッサージ指圧師(2000年~)
また、第43回日本伝統鍼灸学会学術大会、世界鍼灸学会連合会学術大会WFASなどにて発表経験もあり、研究成果の発表も行っております。
場所:東京都品川区大崎5-4-7ハイツ五反田203号
五反田駅をご利用の方
JR山手線・都営浅草線 五反田駅西口改札 徒歩5~7分(約500m)
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