【本日の目次】
アメリカから噛みしめ治療のお問い合わせ
噛みしめでお悩みの20代女性K様からお問い合わせをいただきました。
数か月ごとに日本とアメリカを行き来される生活をされていらっしゃるとのこと。
噛みしめ(食いしばり)症状にお悩みで今回、ネット検索で香庵を見つけてくださったそうです。
日本語が堪能で、香庵の噛みしめ(食いしばり)についての記事(すべて日本語で書かれています)も読んでくださったとのことでした。
日本とアメリカの歯科医療の違い
日本の歯科医療では、噛みしめ(食いしばり)症状で割れたり欠けたりしてしまった歯の修復(セラミックなどの被せものなど)をはじめ、歯の保護を目的としたマウスピースや噛む筋力を一過性に弱らせるボトックスなどの処置が行われています。
一方、アメリカの歯科医療は予防医学の考えがとても進んでいるといわれます。
歯のコンディション(歯の健康状態や歯並び)によって、育ちや教養、生活レベルを判断されるほど歯に対する意識が高いとも聞きます。
K様はアメリカのロサンゼルスにお住まいです。
北米屈指の世界都市L.A.(ロサンゼルス)ならば、噛みしめ(食いしばり)症状に対しても、もしかしたら日本では行われていない歯科医療を受けられるチャンスがあるのではないかとお伺いしてみました。
しかし、アメリカでは日本のような国民健康保険のような制度もないし、歯科医療を受けようとするととにかく高額な医療費がかかるとのことでした。
「通い続けるのが大変...と思うとなかなか行こうという気にならない」とのことでした。
また、K様は数か月ごとに来日されているので、そのタイミングで日本の病院を受診しているとのこと。
今回の日本滞在期間は2週間ほどだそうで、その間に香庵の噛みしめ(食いしばり)治療の症例をネット検索で見つけてご予約してくださったとのことでした。
噛みしめ(食いしばり)の症状について
5年前から噛みしめ(食いしばり)症状がひどく自覚症状が現れてきたとのこと。
・側頭部の痛み
・耳から下顎にかけての重だるさ
・食いしばりによる頬の筋肉の張り感
・ストレスが強いときには耳の閉塞感もある
・5年前に歯科医院で歯ぎしりにより歯が欠けていることを指摘された
・マウスピース(ハードタイプ)を作って持っている
・マウスピース(ハードタイプ)の違和感で寝られず1回で辞めた
K様はこれまで3か所の鍼灸院へ行かれたそうです。
どこも噛みしめ(食いしばり)症状のための鍼灸治療を希望され全部で5回ほど受けられたとのこと。
でも、こめかみに鍼を刺して電気を流されたり、顔に鍼を刺して痛みが強く残ったりする鍼治療だったとのこと。(お灸はどこの鍼灸院でもされなかったそうです)
鍼がかなり痛く感じたけれど、効果があるかも...と、ガマンしながら受けられたものの、噛みしめ(食いしばり)症状が緩和された実感がなく、これらの治療についても説明がなかったとのことでした。
鍼は怖いから本当は受けたくない...でも、噛みしめ(食いしばり)症状がツラいので、治るんだったら痛くてもガマンします!
...と、かなり緊張気味でした。
噛みしめ(食いしばり)に関する、香庵の診断・分析
香庵で行っている噛みしめ(食いしばり)症状のチェックを行いました。
噛みしめの動きに関わる側頭部の筋肉の状態は、右側の筋肉が左よりも強く働いていることが分かりました。
左右の噛む筋肉に差があることから、寝ているときに無意識に左右の筋肉のバランスを取ろうとして歯ぎしり*が起きている可能性がありました。
*噛み合わせが合っていないとき、上下の歯は正しい噛み合わせを取り戻そうとして顎を動かし「歯ぎしり」となることがあるそうです。
香庵に来院されている歯科医師 I 先生からのご指導で、噛みしめ(食いしばり)症状にお悩みの方へこのような情報もお伝えしています。
口を開けて閉じる動きでは下顎のふらつきや歪みは見られなかったものの、口の開きが小さいことがわかりました。
通常、手の指(人差し指、中指、薬指)を3本そろえて縦にして口の中に入る(正常な口の開きの目安)ところ、2本半くらいしか口を開けられない状態ということが分かりました。
頭と首の境目の筋肉の状態をチェックしたところ、筋肉が硬くこわばっていて関節が固められたようになっていました。
通常、成人女性の頭の重さは4~5kgほどあります。
K様の場合、頭と首の境目にある関節を動かそうとしても、周囲の筋肉のこわばりが強く固まったようになり、4~5kgほどある頭が軽々と浮き上がってしまうような状態でした。
これは、頭と首の境目の筋肉グループが、顎周りの筋肉を緊張させるように働きかけているという意味です。噛みしめ(食いしばり)を引き起こしやすくしていることを表していました。
そのほか、鍼灸治療の基本診断である脈診と腹診も行いました。
この診断をすることで、お身体の在り方を整えて症状改善を促すパワーをしっかり底上げするチカラを引き出す治療を行うことができます。
K様にはそもそも筋肉に疲労とコリが溜まって血流がスムーズに流れにくくなっているところがありました。
その結果、回復しにくくなっていることが現れていました。
さらに時差の関係もあるからか、生活リズムや体内リズムなど自律神経系の乱れがある中、人に気を使って消耗している可能性があることも現れていました。
そのため、「噛む」動きに関わる多くの筋肉がリラックスできなくなり噛みしめ(食いしばり)症状となって現れていると考えられます。
K様にそのことをお伝えすると「日本に来るとお酒の席が増えて、徹夜で朝9時くらいまで飲む日が続くことが多いです。酒ウツ(深酒でグッタリして後悔するという意味)になるけど、誘われたら断れなくて、また飲みに行くことを繰り返してしまう...」とのことでした。
噛みしめ(食いしばり)の施術内容と経過
K様のライフスタイルや症状に合わせた噛みしめ(食いしばり)症状の緩和に向けて鍼灸治療を行いました。
・おからだ全体にアプローチして筋肉をゆるめていくこと。
→根本的なからだのバランスを整える
・噛みしめ(食いしばり)を起こしている筋肉グループ全体をゆるめること。
→症状改善の中心となる鍼灸治療
・リラックスしているときのおからだの感覚を取り戻してもらうこと。
→全身と「噛む」筋肉グループとのつながりを知っていただく
・噛みしめ(食いしばり)をしていない状態とはどんな状態かを体感していただくこと。
→「噛む」筋肉をコントロールできるポイントをライフスタイルに活かしていただく
香庵の噛みしめ(食いしばり)の鍼灸治療では、症状緩和だけではなく、噛みしめ(食いしばり)症状が起きやすいおからだの状態を知って、普段からご自身でも予防できるように治療を行っています。
施術後の様子です。
噛みしめの動きに関わる側頭部の筋肉の状態は、左右とも同じタイミングで動きバランスが取れていました。
口を開けて閉じる動きでは下顎のふらつきや歪みがありませんでした。
口の開きは、しっかり明けられるようになり、手の指(人差し指、中指、薬指)を3本そろえて縦にして口の中に入る(正常な口の開きの目安)ところまで回復しました。
頭と首の境目の筋肉の硬いこわばりが取れてふにゃふにゃと柔らかくなっていました。
4~5kgほどある頭と首の関節がスムーズに動いて、ポカーンと口を開けやすい環境を整えることができました。
それぞれの状態をK様と共有して施術を終了しました。
噛みしめ(食いしばり)治療の振り返り・院長より
噛みしめ(食いしばり)の症状は生活習慣の中で噛みしめ(食いしばり)癖がついていく部分もあります。
ライフスタイルの中でパソコンやスマホなど使う頻度が上がると噛みしめ(食いしばり)症状の引き金になることもあります。
そのため噛みしめ(食いしばり)症状は、継続してその癖を取っていくことが症状改善に向けての大事なアプローチです。
しかし、K様の場合は、ロサンゼルスにお住まいなので、来日するにしてもなかなか継続して噛みしめ(食いしばり)の症状改善をサポートすることが難しい部分がありました。
その分、噛みしめ(食いしばり)症状が起きにくいおからだの状態を知っていただくことで、噛みしめ(食いしばり)症状の予防につながるのではないかとご提案しました。
K様、来日しての滞在期間が2週間くらいという中、わざわざアメリカから香庵の噛みしめ(食いしばり)鍼灸治療をネット検索してご予約をいただきありがとうございました!
またぜひ機会がありましたらご連絡お待ちいたしております。
五反田の鍼灸院 香庵(かのん)について
当院の院長、加藤は国家資格を取得しております・鍼師(2000年~)・灸師(2000年~)・あん摩マッサージ指圧師(2000年~)また、第43回日本伝統鍼灸学会学術大会、世界鍼灸学会連合会学術大会WFASなどにて発表経験もあり、研究成果の発表も行っております。
場所:東京都品川区大崎5-4-7ハイツ五反田203号
五反田駅をご利用の方
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