【本日の目次】
歯科治療トラブルとかみ合わせのご相談
2021年10月以来…1年半ぶりに来院された40 代女性のK様。もともと噛みしめ(食いしばり)の鍼灸治療をご希望で来院されてた方でした。
お久しぶりにお会いできること楽しみにしてました〜(*´▽`*)
ところが、今回の症状をお伺いしてみると、何だか大変なことになってしまっていらして…(;゚Д゚)
歯科医療の進歩によって、歯の治療一つとっても、さまざまな方法が選択できるようになってきています。
しかし、その一方で、K様が今回体験されたようなトラブルも起きていることを知りました。
K様には香庵での噛みしめ治療を通じてサポートできること、また、歯科医院で確認してほしい質問事項などをご提案させていただきました。
また、これから新しい歯の治療方法を試そうと考えている方にとって、正しい情報や詳しい説明を受けることの大切さをシェアできればと思います。
症状について
この1年半の間、むし歯が4本立て続けに見つかり、近所の歯科医院で治療をされたのだそうです。
セレックシステムでの治療で安く済むとのことで、すべて歯の被せものを作ってもらったとのこと。
でも、歯の被せ物が合わなかったのか違和感があるとのこと。
最初は違和感程度だったそうですが、数日後には下顎が全体的にズレてしまい歯の痛みが引かず、左の顔が腫れたような状態が続いてるとのこと。
実際に奥歯の被せものの状態を見せていただきました。
本来、奥歯は臼(うす)のような形をして食べ物をすりつぶすのに合った形をしているものなのですが、K様の場合、左下の臼歯の被せものの表面がまっ平になっていてすりつぶせない状態でした。
相対する上の臼歯とは当然、かみ合わせられなくなっていました。
しかも、K様が施術を受けられた歯科医院によると、これは仮の被せものではなくセレックシステムで仕上げた完成形、とのこと。
K様はあまりの痛さに、子供のころから通っていて、最近では困った時に駆け込む歯科医院の先生のところにご相談したそうです。
しかし、その歯科医院の先生のところではもともと歯の被せもの治療には従来の治療法を採用しているうえに、よその歯科医院で治療したものに関しては、処置ができないとのこと。
他のところで治療して、後始末に困った時だけうちにくるの、なんでかな〜(´_ゝ`)
…と、先生ご自身も困っていらしたとのこと。
セレックシステムを受けた歯科医院に、噛み合わせが完全にズレてしまってることを伝えるようにとアドバイスを受けられたそうです。
そんな背景があって、来院されたK様。鍼灸治療でどうにかならないか、とのご相談でした。
審美歯科セレックシステムとは
3Dカメラで歯をスキャンして、そのデータをコンピューターで読み取り、オールセラミックで歯の詰め物・被せものを作れる技術のことです。
・従来の歯の詰め物・被せものを作る方法との違い
従来の歯の詰め物・被せものを作る工程では、大きなトレーと粘土のようなものを口の中に入れてしばらく置いて歯の型どりをします。
でも、歯の型どりをするために粘土が口の中にムニュ~ッ!っと入ってくるので、それが苦手に感じる方も多いと思います。中には嘔吐反射(口の奥にモノが当たるとオエッ☆となる反応)が出てしまい、ツラい…という方もいらっしゃいます。
また、型どりした後は、歯科技工士さんへ発注をかけて作製してもらうため、その分時間も費用もかかっていたそうです。
さらに、通常のセラミック加工の工程では、歯科技工士さんの技量によっては中に気泡が入り、仕上がりの強度に差が出ることもあったそうです。
でも、3Dカメラで歯をスキャンする方法では、密度の高いセラミックブロックを削りだして作製するため最短1日で丈夫で長持ちする詰め物・被せものを装着までできるとのこと。
セラミックは天然の歯と変わらないほどの見た目の美しさ、噛み心地、舌触りなどを再現できるとのことで審美性の高さとしても優れています。
審美的でリーズナブル、痛みや手間もかからずとても良い方法のように感じるセレックシステム。
いいことずくめに感じるセレックシステムですが、今回ご相談いただいたK様の歯の被せものの仕上がりを見せていただいたところ、疑問に思えるところがありました。
さらに、セレックシステムのせいで食事もままならないほど痛みとお顔の腫れがあり、下顎の位置がズレてかみ合わせが合わなくなってしまうリスクがあるのかどうか疑問でした。
・歯科医師の方に聞いたセレックシステムの注意点
ここからは香庵に来院されている歯科医師のI先生にセレックシステムについてご意見をお伺いした内容です。
この3Dカメラで歯をスキャンするのには相当細かく計算しないといけないのですが(その計算自体はコンピューターがやってくれるとはいえ)、口の中は個人差も大きく、計算だけでは対応できない状況も多々あるとのことです。
口腔内全体のバランスを診ながら詰め物・被せものをしていく必要性があるとのこと。
I先生によると、従来の型どりは確かに粘土がムニュ~ッてなるのがシンドイ!と思うかもしれないけれど、確実に歯型が取れるんですけどねぇ~...とのことでした。
とはいえ、セレックシステムには利便性や価格の負担も少ないという利点もあるので、治療計画や施術内容、リスクや施術後のフォローなどしっかり確認したうえで治療を受けるか考えるべきだと思いますよ。とのご説明をいただきました。
I先生、いつも的確でわかりやすいご説明をいただきありがとうございます!ヾ(*´∀`*)ノ
香庵の診断・分析
噛みしめ治療というよりも、そもそも歯の治療でトラブルが起きてお顔が腫れていたり、下顎がお顔の正中線からズレてしまったK様の症状.......
香庵での噛みしめ(食いしばり)の鍼灸治療で、サポートできるか自信はなかったのですが…
噛みしめ(食いしばり)で診断するポイントをチェックしてみたところ、
・左側のお顔が明らかに腫れていて、鼻筋と下あごの中心線もズレている。
・上下の歯が合っていない(かみ合わせがズレている)ため、左右の噛むための筋肉に負荷がかかり硬くコリが強くなってしまっている。
・食事で普通にものを噛んでいても歯に痛みを感じるとのことで首や肩も緊張してコリが全体に広がってしまっている。
…などの様子が見られました。
まずはこのようなお身体の状態をゆるめることで、K様の本来の下あごの位置に少しでも近づけるように整えていくことにしました。
そのうえで、歯科医院で歯そのものの処置を受けられた方が、良いかみ合わせの歯を作ってもらいやすいのではないか、とご提案しました。
施術内容と経過
香庵の噛みしめ治療では、噛むための筋肉に加えて、食事の動作にかかわるすべての筋肉グループを診断して施術を行います。
さらに、噛みしめるという行為そのものは「歯を食いしばって頑張る!」という言葉があるように、全身にチカラが入ってしまいリラックスしにくい状態をつくってしまうものです。
そのため、全身に負荷のかかってしまう無駄なチカラをゆるめてリラックスしやすい状態に整えて噛みしめにくいお身体の環境づくりも同時に行ってまいります。
噛みしめ治療といっても、噛みしめている筋肉だけを局所的にみていく方法とは違い、噛みしめに影響されているお身体全体の緊張も視野に入れて、二重三重にゆるめていく治療システムを使います。
今回のK様のケースでは、腫れや痛み、下顎のズレなどによって、全身のバランスまで影響されてしまった状態を噛みしめ治療を応用してゆるめて整えていく、という鍼灸治療を行いました。
施術後…
下顎のズレが消えて左頬の腫れも引き、お顔の均整も取れてました。
炎症がある程度引かないと痛みは取りきれないですが、腫れがある程度引いているところから数日ご様子をみていただくことにしました。
左下奥歯の状態(臼歯の上部がまっ平になり食べものをすりつぶせない状態)から、なるべく右側で噛むようにして症状が強い左側には負担をかけないようにご提案しました。
でも、今回の噛みしめ(食いしばり)の鍼灸治療、これで良かったかどうかはかなりナゾで…
そもそも歯科医院での歯の治療にK様ご自身が納得いってない問題は消えてないわけで…最終的には歯の被せものをなんとかしないと症状は消えないということだったからです。
そのことに関してはK様、新たな歯科医院をネット検索で探してすでに予約しましたとのことでした。
そこもセレックシステムを導入している歯科医院で、すべて最初からやり直してもらうことにするとのこと。
新しい歯科医院の先生と、治療計画や施術内容、リスクや施術後のフォローなどについて、ご相談する内容をまとめるサポートをしました。
治療の振り返り・院長より
香庵で次回の鍼灸治療のご予約もいただきました。
新しい歯科医院の施術を受ける前に、お顔のズレ(下顎の位置のズレ)を整えて、噛みしめ(食いしばり)に関わる筋肉全体のコンディションを良くしておくサポートを行う予定です。
K様、次回のご予約日にお待ちしておりますね!
いつもご利用ありがとうございます。
五反田の鍼灸院 香庵(かのん)について
当院の院長、加藤は国家資格を取得しております ・鍼師(2000年~) ・灸師(2000年~) ・あん摩マッサージ指圧師(2000年~) また、第43回日本伝統鍼灸学会学術大会、世界鍼灸学会連合会学術大会WFASなどにて発表経験もあり、研究成果の発表も行っております。
場所:東京都品川区大崎5-4-7ハイツ五反田203号
五反田駅をご利用の方
JR山手線・都営浅草線 五反田駅西口改札 徒歩5~7分(約500m)
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