症状について
6月に入っても在宅勤務が続き、ほぼ一日中パソコンと向き合われている30代女性のT様。
定期的に来院いただいているのですが、最近「噛みしめ」癖が強く出るようになって・・・、仕事が忙しくて休む時間も取れず、とにかく首と肩が痛いのがとてもツライ!と、いつもより少し間隔を詰めてご予約を頂きました。
T様が「噛みしめ」症状改善目的で初めて香庵に来院されたのは約1年ほど前です。
それまで、ご自宅や職場の近くの東京都内にある歯科医院で「噛みしめ」の相談をされていらしたそうです。ご相談はされていらしたものの、診断では「まだ歯が割れたり損傷を受けている形跡もないからマウスピースする必要はない」とのことだったそうです。
しかし、T様としては、
・今の歯を損傷してからの治療ではなく、噛みしめの予防をしたい。
・歯を失ってからでは遅いし、今できる対策が知りたい。
・口腔内の治療が今後必要になってからでは、金銭的な負担が一生続くのではないか。
・そもそも噛みしめにはマウスピース以外の対策はないのだろうか。
(インターネットで検索すると他の対策も出てきたけど全部高額&痛そう・・・だったそうです)
・・・と考えられ、インターネットで「東京、噛みしめ、治療」などのキーワードで探しているうちに、噛みしめに特化した鍼灸治療メニューを持つ「香庵 かのん」を見つけてくださったそうです。
そのほかにも、噛みしめにまつわる体調や気分の落ち込みについても、観察されていたとのことで「噛みしめ」を中心とした症状について多角的にお話してくださいました。
・なにより、顎の疲れを感じるのがイヤ。
・リラックスできない状態なのも、噛みしめ癖のせいだと思う。
・噛みしめは就寝中、無意識で行っているため、意識的にコントロールできないのが悩み。
・昼間に噛みしめてることがあって、そういう時は肩こりがひどくて頭痛することもある。
・最近では、肩こりや頭痛の1番の原因が、噛みしめではないかと思うようになった。
とても冷静な診断力!仰る通りです!
T様、すばらしいです!
「噛みしめ」に悩まれていらっしゃる方のお悩みポイントを的確に表現してくださいました。
香庵の診断・分析
まずは仰向けになっていただき、鍼灸治療の基本診断を行いました。
脈診や腹診によって、全身バランスのズレや偏りを大まかに把握し調整を行い、次に「噛みしめ」に関わる筋肉群の左右バランスを診て行きます。
しかし、この日はT様の下顎の位置が、本来の位置から少し右にズレていることが観察だけで診断できました。
T様には仰向けでリラックス姿勢を取っていただいているにもかかわらず、それだけ下顎をうごかす筋肉(とくに右側)が縮こまり、下顎を右へ引っ張っていることが観察できました。
実際、下顎を引っ張っている筋肉の状態をチェックしてみることにしました。
コメカミの位置に指を軽くあてて、奥歯をグッと噛みしめていただくと、左側のコメカミが盛り上がり、そのあと、右側のコメカミが盛り上がるのが感じられました。
T様にも実際にご自身の指をコメカミにあてて筋肉のうごきがズレていることを確認していただきました。さらに「両方の奥歯でグッて噛んでるけど、なんだか噛み合わせた感じが不安定でしっかり噛めていないような感覚がある」とのことでした。
コメカミで起きるこの反応は、左右の側頭筋という筋肉が縮こまって硬くなり、下顎を引っ張っているために起こります。
左右の側頭筋の筋肉バランスが乱れ、右の側頭筋の筋肉のコリが強いようでした。
また、側頭筋にコリがある状態なので「奥歯をかみ合わせた後、チカラを抜いたつもりだけど、上下の奥歯が合わさり続けているようで力が抜きづらい」とのことでした。
噛みしめの鍼灸治療では、左右の咀嚼筋(側頭筋、咬筋)と呼ばれる「噛む」うごきそのものに関わる筋肉バランスを整えることが目的の1つです。
しかしこのように筋肉の縮こまり、硬さ、コリ具合などに左右の違いがある場合、鍼灸の刺激量を変えていく必要があるのです。これが鍼灸治療においての噛みしめ診断のポイントになります。
施術内容と経過
仰向けでは、左右の側頭筋の硬さの違いを考慮しながら左右の側頭筋の筋肉をゆるめると同時に、首や肩のコリにもアプローチすることで、頭全体をリラックスさせられるような鍼灸治療をおこないました。
また、実際の「噛む」動作は、顔をまったく動かさないで下顎だけを開いて食べ物を口に入れる、というような単純な動きではありません。
食べ物を口に入れる瞬間には少し顔を上にあげたり、お箸を口に運ぶ際には少し頭全体が傾斜したりと、頭全体を動かして「噛む」うごきをサポートしているのが観察できます。
ハンバーガーにかぶりつくような動きをイメージしていただくと分かりやすいかもしれませんね!
こうした「噛む」うごきをサポートしている頭全体の筋肉が緊張してくると、当然「噛む」動きそのものもしづらくなってきます。それが「噛みしめ」癖へとつながってくることもあります。
とくに、首の後ろ周囲のコリや痛みは、実際の食事風景でも「噛む」うごきに関わっています。
後頭部から首の境目にかけて触れてみて頭皮がプヨプヨとして血行不良による「むくみ」の状態になっている場合は、噛みしめの鍼灸治療での治療ポイントとなります。
T様の後頭部にも、この特徴的な頭皮のプヨプヨとした「むくみ」状態が現れていました。
そのため後頭部に血流を促すための鍼治療と後頭部から首・肩にかけての強いコリをゆるめる鍼灸治療を行いました。
頭部周囲への鍼灸治療のあと、再び仰向けになっていただき、コメカミに指をあてて噛みしめのチェックを行いました。
すると、下顎そのものへの鍼や灸刺激を一切行っていないにもかかわらず、下顎の位置がお顔の中央下の正しい位置におさまり、奥歯をグッと噛んだときのズレ感もなく噛みしめられるし、その後スッと力を抜くことができるようになりました。
T様の「噛みしめ」の鍼灸治療のようなケースでは、○ヶ月、○回で症状改善!ということではなく、仕事が多忙を極めストレスフルになると、首や肩コリや頭痛症状をともなって筋肉全体が縮こまり「噛みしめ」へと影響してくるため、体調管理を兼ねて定期的に来院されるたびに「噛みしめ」診断を含めた鍼灸治療を行っています。
治療の振り返り・院長より
噛みしめで悩まれて来院されたT様ですが、「自覚はあるものの、歯そのものの損傷がなく歯科領域での治療が受けられない」と悩まれていらしたのが初診での印象的なお話でした。
香庵では、「噛みしめ」癖になる特徴の一つとして、側頭筋のコリに着目しています。
インターネットで「噛みしめ」について調べると、東京都内だけでもさまざまな歯科医院や鍼灸院、寝具類の販売店さんなど対処方法からリラックス方法まで情報公開されていらっしゃるようです。
「噛みしめ」対策を考えられていらっしゃる方は、いろいろ参考になさってみてくださいね!
実際には噛みしめの多くは、強い噛みしめ(咬合力)によって、歯が欠けたり粉砕されることもあるため、マウスピースで歯を守りつつ、すでに損傷した歯は義歯で対処することが主流のようです。
しかし香庵では「噛みしめ」の診断ポイントの1つに側頭筋のコリを採用しているため「噛みしめ」=「歯の損傷」という視点よりも、もっと前の段階から「噛みしめ」対策を始めることが可能です。
T様には香庵の「噛みしめ)に対する考え方がまさにピッタリだったそうで、それが香庵を選択していただいた理由でした。T様、見つけてくださってありがとうございます!
しかも東京都内で自宅や職場近くで受けられる「噛みしめ」治療ができるところで探されたT様にとって、香庵の場所までが「条件にピッタリで良かった~!」のだそうです。
「現在は在宅勤務だから予約したくなったらいつでも来られます(^^♪」とのことで、私もそう思っていただけること、とても嬉しく思いますヾ(*´∀`*)ノ
「噛む」うごきは、生きることの命題そのものに関わる動作なので、「噛みしめ」は全身と関わる症状だと香庵では認識しています。
ハードワークになられることが多いT様だからこそ、おからだ全体の体調を整えるのと同時に「噛みしめ」を予防する鍼灸治療を盛り込みつつ、今後もサポートしてまいりますね!
またのご利用をおまちしております。
五反田の鍼灸院 香庵(かのん)
東京都品川区大崎5-4-7ハイツ五反田203号
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