【本日の目次】
お母さまの体調を心配されてのご相談
香庵へ定期的に来院される方からお母さま60代女性K様をご紹介いただきました。
お父さまが起こした事業をお父さまがなくなった後引き継いで、20数年。
1日も休まず、工場で働くお母さまにおからだの不調が現れていることを心配されているとのこと。
インターネットで調べて、ご自宅から通いやすいエリアの鍼灸院や整体院に連れて行くけど「あそこは合わない」と言って、長続きしないとのこと。
娘さんとしてはお母さまの体調を心配していろいろとサポートしようとしているけれど、どうしていいか分からない、というご相談もお伺いしました。
症状について
K様のおからだの症状と、これまでの経緯についてお伺いしました。
・両腕、膝、首、肩、背中、腰...とにかく全身が痛い。
・整形外科に行くと痛み止めの薬を処方されるが効かないし、そのことを伝えると別の痛み止めの薬を処方されることの繰り返し。
・薬を変えて処方するだけでごまかされているような気がする。
・鍼灸院や整体院にも通ってみたものの、良くなったという実感がない。
・自分の身体がどうなっているのか、なぜ痛みが起きているのか、誰も説明してくれない。
・夕方には疲れてきて夜9時ごろに眠たくなる。ウトウトするけど夜中に起きるため睡眠をまとまって取れていない。
K様の症状の特徴として、痛みがあちこち移動する、というのがありました。
そして工場での作業では力を使う仕事を率先して行っていて、とくに腕が痛くなることが1番ツラいとのこと。
・症状がいろいろありすぎて、どう伝えたらいいか分からない。
・本当に身体が痛いけど、行った先で適当にあしらわれている気がする。
・病院を変えるとまた最初から説明しなきゃいけない。同じことの繰り返しで「痛い」ということを伝えることそのものがイヤになってきている。
・でもからだの痛みはあるからこのツラい状況をなんとかしたい。
K様ご自身の思いをすべてお話いただいたことで、自分のからだに起きている痛みや不調はもちろんなのですが、これまで整形外科や鍼灸院、整体院などでの体験で、K様の中に「ちゃんと向き合ってもらえない」という不信感が怒りとなっていることが分かりました。
今までの経緯とK様の症状・体調、そして心の中に溜まった思いをすべてお伺いして、初めて香庵での鍼灸治療に意識をむけられたK様。
さっそく、鍼灸治療の中での診断からスタートすることになりました。
香庵の診断・分析
仰向け姿勢でのK様のお身体の状態を診断すると、
・首がガチガチに固まった状態でした。
・肩とウエストの後ろ側がベッドから不自然なまでに浮き上がっていました。
・全身の筋肉が縮こまって硬くなりコリが強くなっていることを示していました。
・足の長さもズレていて、右の方が左よりも1cm以上長くなっていました。
K様自身は、いつもの仰向け姿勢という感じで違和感はあまり感じてはいらっしゃらなかったですが、本来、リラックスした状態の仰向け姿勢とではかなりかけ離れた状態になってしまっていました。
このおからだの反応は、全身の筋肉が硬くコリが強すぎて、血行不良が起きているため、疲労が取れず、回復するチカラを発揮することができない、というおからだ様(心とからだの総称)からのメッセージです。
全身の筋肉が凝って硬くり、連動した流れるような動きを妨げているのに、力いっぱい動かしているので全身に無理なチカラがかかり痛みが現れているのではないかと分析しました。
施術内容と経過
鍼灸治療の基本診断である脈診と腹診からツボを1か所選択して鍼をすると、左右1cm以上ズレていた足の長さがピタリとそろいました。
このおからだの反応は、K様のおからだ様(心とからだの総称)に必要な鍼刺激を受け取っていただけたこと、これから行う鍼灸治療の治療プログラムのファーストステップが合っていることを表していました。
さらに、K様の全身の筋肉バランスを整えてゆるめるために鍼をしていきました。
ガチガチに固まっていた首の筋肉がふにゃふにゃと柔らかくなり、不自然なまでに浮き上がっていた肩とウエストの後ろ側がベッドに付いて、チカラが抜けた状態になりました。
K様ご自身も「今までチカラが入ってリラックスできていなかったんだ!」ということをご自分の身体の変化で実感することができました。
うつ伏せ姿勢で背中全体を診てみると、背中の筋肉がつっぱったようになっていて背骨自体の本来のしなやかさも失われてしまっていました。
この状態をK様とも共有して、お背中の鍼灸治療後にどのように変化するかを感じていただくことにしました。
とくに腕が痛くなるというK様のお悩みに合わせて、筋肉のコリで神経を圧迫している原因となっている首のコリは丁寧に鍼刺激を行いました。
さらに首・肩・背中・腰全体のコリやゆがみを取り、筋肉をゆるめていくように鍼灸治療を行いました。
お背中の鍼灸治療が終わると、背中を押したときに背骨が竹のようにしなる柔らかさを取り戻していました。そして、背中の筋肉も押したときに伸び広がる柔軟性と筋肉そのものの弾力性も取り戻していただくことができました。
K様もご自身のお背中の状態が変化したことを実感していただくことができました。
同時に、それまでどれだけからだを固めて使っていたのか、関節に無理なチカラが働いていたのか、寝ても疲労が取れなかったのかをおからだの変化を通して実感していただくことができました。
整形外科でコリの説明ができない理由
整形外科で症状を伝えてもお薬を処方されるだけで、話をしっかり聞いてもらえないことに不信感を抱かれていたK様。
実は、整形外科では香庵でK様にお伝えしたようなコリについての説明ができない事情があります。
コリとは、筋肉に疲労が溜まって縮こまり、硬くなって血行不良を起こしている状態です。
そしてそのコリが神経を圧迫すると、しびれや痛みを起こすと東洋医学では考えられています。
しかし、整形外科の領域で「コリ」というのはレントゲンでもMIRでも画像診断ができないものです。
誰が見ても明らかに「コリがある」という画像は見ることができない場合、証拠がないから確認が取れないということです。
そのため、西洋医学の領域で「コリ」は存在しないもの、という扱いになります。
もしも、整形外科医が「この痛みは、コリから来ていますね」と言ってしまうと、西洋医学や整形外科の存在を自ら否定したことになるため、言えないのです。
この話は、私がまだ10代後半の頃、ダンスをしていて腰を痛め坐骨神経痛を起こして整形外科にかかった時の担当医師から教えていただきました(笑)
その時の整形外科の先生は、
まぁ、私(整形外科医)の立場ではっきり言っちゃダメなんだけどね、コリが原因なんだよね。だから鍼灸院に行ったほうが治るよ~(´・ω・`)
・・・と、私の目を見てキッパリした口調で伝えてくださいました(笑)
整形外科ではレントゲン画像で確認できる骨折や骨の変形などを確認すること、痛みがあれば痛み止めの内服薬や湿布を処方することが主な業務になるようです。
整形外科で「痛みが続いている」と言うと、別のお薬を処方するのみで話を聞いてもらえない、なぜ痛みが続くのか説明もないという対応に不信感を抱き、怒りすら感じた...とお話してくだったK様。
しかし、整形外科でコリの説明ができない理由を知って、コリをゆるめるのは鍼灸院の適応症状であることなどを理解することでK様の長年の悩みも解消していかれました。
治療の振り返り・院長より
施術後、おからだの柔らかさと軽やかさを取り戻され、スッキリと明るい表情になられていたのが印象的だったK様。
ご自宅から香庵まで、電車で約1時間くらいの距離で娘さんに付き添ってもらいながらお越しいただきました。
なかなか定期的に通うということはできないので...すみません。
とおっしゃっていらっしゃったのですが、香庵での鍼灸治療を通してご自身のおからだのことを知るお手伝いができたこと、私はうれしく思っていますよ~!(*^▽^*)
ご自身の心とからだは、生まれる前からずーっと今まで一緒に生きてきた人生のパートナーみたいな存在です。香庵では心とからだを総称して「おからだ様」とお呼びしています♪(*´▽`*)
K様のおからだ様のことをK様ご自身がよく理解してあげることは、症状と向き合うだけではなく、これからのK様のライフスタイルをより健やかに過ごしていただくベースになります。
お近くの鍼灸院で合うところを見つけられて施術を受けられてもよいと思います。
ぜひK様のおからだ様をいたわってあげていただきたいです。
追伸:2回目の治療のご依頼
翌週、娘さんからK様の再診の治療のご依頼をいただきました。
今度は鍼灸治療に指圧60分コースをカスタマイズして疲れを取ってほしいというご依頼内容でした。
お母さん想いの娘さんでK様、幸せですね~♪(*´艸`*)
鍼灸治療でコリや痛みを取って、指圧60分コースでは全身のお疲れを取りながらリラックスしていただけるような治療プログラムをご用意しようかな~♪
・・・なんて、K様に喜んでいただけるような治療プログラムを今、考えています♪
ぜひ、当日は楽しみにしていただきながらお気をつけてお越しくださいね!
お待ちいたしております!
五反田の鍼灸院 香庵(かのん)について
当院の院長、加藤は国家資格を取得しております・鍼師(2000年~)・灸師(2000年~)・あん摩マッサージ指圧師(2000年~)また、第43回日本伝統鍼灸学会学術大会、世界鍼灸学会連合会学術大会WFASなどにて発表経験もあり、研究成果の発表も行っております。
場所:東京都品川区大崎5-4-7ハイツ五反田203号
五反田駅をご利用の方
JR山手線・都営浅草線 五反田駅西口改札 徒歩5~7分(約500m)