骨折したのは腕。でも、整えるのは腕だけじゃない|骨折後の回復期に行った鍼灸治療(戸越銀座・戸越 鍼灸院)
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【本日の目次】
転倒して左腕を骨折
定期的に来院される60代主婦・Y様。
この日は、ギプスをした状態で香庵に来院されました。
家の中で転倒し、左手をついた瞬間に左腕を骨折されたとのこと。
骨折した腕も痛いうえに、全身の疲れもツラいとのことで、施術を行いました。
そして、前回の鍼灸治療から3週間後。
ギプスが外れた状態で、再び来院されました。
今回は、そんなY様の骨折後の回復期に行った鍼灸治療についてご紹介します。
ギプスが外れた後の手首の動きの痛み
ギプスが外れたものの、左手首を反らせる動きをすると、約40°のところで腕に鋭いズキッとした痛みが出るとのこと。
それ以上は、痛みが出て動かしにくい状態でした。
整形外科では、ギプスが外れた段階から週に1~2回ほどリハビリを受けることになっていました。
リハビリでは、左腕を優しくなでるようにほぐしたり、温めたりする施術を受けているとのこと。
2回ほど受けた時点では、手首の痛みはまだ残っていました。
そしてY様には、いくつかの不安がありました。
「このまま固まってしまうのではないか...」
「この痛みはいつまで続くんだろう?」
「すぐに元通りになるわけじゃないから、焦っても仕方ないのかな……」
さらにY様は、90代のお父様の介護もされています。
日常生活の中で、左手首をまったく使わずに過ごすことはできないとのことでした。
そのため、
「手首を使わなければならないから、痛みが長引いてしまうのではないか」
という不安も感じていらっしゃいました。
骨折したのは「腕」だけど、動かしているのは「身体全体」
今回のY様のように、骨折した場所がはっきりしていると、
「痛いのは手首だから、手首を何とかすればいい」
と考えたくなるかもしれません。
もちろん、痛みが出ている場所や動かしにくい場所を確認することは大切です。
でも、鍼灸でお身体をみるとき、香庵ではその部分だけを見るのではなく、お身体全体の状態を確認することを大切にしています。
東洋医学には、身体の一部分と全体はつながっている、という考え方があります。
たとえば左腕を骨折して、左腕を使いにくい状態で日常生活を過ごしていると、左腕の付け根や肩甲骨周り、首や肩なども、いつもとは違う力の入り方や動かし方になることがあります。
左腕をかばうことで、反対側の右腕や右肩に負担がかかることもあります。
さらに、上半身の動かし方が変わることで、背中や腰、下半身の姿勢や動きにも影響が出ることがあります。
このようなお身体全体への影響は、必ずそうなる、というわけではありません。
でも、身体はそれぞれのパーツが独立して動いているわけでもないんですよね。
一部分の動きが変われば、それを補うために、別の場所の動き方も変わることがあります。
だからこそ香庵では、
「痛みがあるところだけを見る」のではなく、「その部分を含めたお身体全体を見る」
ことを大切にしています。
まず、お身体全体の状態を確認していきます
鍼灸治療では、まず最初に、脈やお腹の状態を確認し、お身体全体のバランスをみていきました。
左右差やコリの強い場所などを確認しながら、全身をゆるめて整えていきました。
そして、お身体全体を整えたところで、
「では、手首は今どんな状態なのかみてみますね」
と、改めて左手首の動きを確認してみることにしました。
Y様に、手首を反らせる動きをしていただくと、やはり約40°くらいのところで鋭い痛みが出て、それ以上は動かしにくい状態です。
そこで、痛みが出る動きや場所を確認したうえで、関連するツボを1か所選び、そこに鍼をしました。
そして、もう一度、左手首を動かしていただきました。
すると……
それまで約40°で痛みが出ていた手首が、90°近くまでスッと動きました。
「え~~~っ!?曲がってる!!!しかも、痛くないんですけど~~~!」
Y様も、ご自身の手首の動きを見ながらびっくり!
私も一緒に、
「おぉ~~~!動いてますね~~~!」
と、びっくり!(笑)
「じゃあ、最初からそのツボだけに鍼をすればいいのでは?」
ここで、Y様からこんなご質問がありました。
「最初からこのツボだけに鍼をしても、痛みが取れて動くようになるんですか?」
確かに、そう思いますよね。
実際、症状が出ている部分に関係するツボだけに最初からアプローチすることもあります。
ただ、香庵では今回のY様のようなケースでは、いきなり症状のある部分だけを見るのではなく、まずお身体全体の状態を確認してから、必要な部分にアプローチするという順番を大切にしています。
なぜなら、今回のY様の場合も、手首だけ見ればいいというお身体の状態ではなったからです。
骨折してからギプスをしていた期間。
左腕をかばいながら過ごしていた日常生活。
そして、お父様の介護。
そうした時間の中で、お身体の使い方そのものが、それまでとは少し変化していました。
だから、
「手首だけをどうするか」ではなく、「手首を含めて、今のお身体全体はどんな状態なのか」
を見ていく。
そのうえで、最後に手首の動きを確認し、必要なところにアプローチする。
香庵では、そんなふうにお身体をみています。
「骨がくっついた=すぐ元通り」ではない
骨折って、骨がくっついたら、
「はい!もう元通り!日常生活にすぐ戻れます!」
……というわけではないんですよね。
ギプスなどで長いあいだ動かさなかったことで、筋肉が細くなったり、力が弱くなったり、左右で力の入り方が違ってきたりすることがあります。
人によっては、
「腕って、どうやって動かしてたっけ?」
と感じることもあります。
骨折する前には何も考えずにできていた動作も、骨折後は少しやりにくさを感じながら、また身体に覚えさせていく時間が必要になることがあります。
今回、Y様のケースでは、そんな状況の中でも、お父様の介護をはじめ、日常生活を「いつも通り」こなしながら過ごされていました。
だからこそ、手首だけではなく、その手首を使って生活しているY様のお身体全体を見ることが大切なのだと思います。
部分にアプローチするためにも、まず全体を見る
今回、Y様に起きていたのは、一見すると、「腕を骨折した」という、ひとつの「パーツ」に起きた出来事でした。
でも、実際にお身体をみていくと、その腕をかばいながら生活することで、身体のさまざまな場所にも負担がかかっていることが見えてきました。
身体は、パーツを一つひとつ集めただけのものではありません。
それぞれの場所が関わり合いながら、一つの身体として動いています。
だからこそ、
「部分にアプローチしたいからこそ、まず全体を見る。」
これが、今回のY様の施術を通して、私が改めて感じたことでした。
骨折そのものについては、整形外科での診察や治療、リハビリが大切です。
香庵では、それらと並行しながら、骨折後のお身体全体の状態をみて、身体が少しずつ日常生活に戻っていく過程を鍼灸でサポートしています。
「骨はくっついたけれど、まだ動かしにくい」
「骨折したところをかばっているうちに、別のところまで疲れてきた」
「このまま身体が固まってしまわないか心配」
そんな骨折後の回復期には、患部だけではなく、お身体全体から今の状態を見直してみる。
それも、身体が日常の動きを取り戻していくための一つの方法ではないかな、と思います。
Y様とは、今回の施術後、日常生活で様子を見ていただき、また、次回のご予約の日にコリやお疲れとともに、骨折後の回復のサポートもしていきましょう、とお約束しました。
Y様、次回のご予約の日にお待ちいたしております。
戸越銀座・戸越の鍼灸院 香庵(かのん)について

当院の院長、加藤は国家資格を取得しております
・鍼師(2000年~)
・灸師(2000年~)
・あん摩マッサージ指圧師(2000年~)
また、第43回日本伝統鍼灸学会学術大会、世界鍼灸学会連合会学術大会WFASなどにて発表経験もあり、研究成果の発表も行っております。
場所:東京都品川区戸越2-6-38 toritor(通リ通ル) Room 1
戸越銀座駅・戸越駅をご利用の方
東急池上線 戸越銀座駅・都営浅草線 戸越駅 徒歩5~7分(約500m)





