症状について
ご家族で香庵をご利用いただいており、お二人のお嬢さまの治療では付き添いでいらしていただいているのですが、ご本人が鍼灸治療を受けるのは実に1年ぶりとなった50代女性のO様。
2月から在宅勤務が半年以上続いているけど、ライフスタイルが合っているのか「通勤時間もかからないし、ラクだと感じている」とのことでした。
しかし、「最近、胸が痛い」とのことで来院されました。
胸の痛みといっても心臓の病気というわけではなく、筋肉痛のような感じとのことでした。
「とくに鎖骨の下辺りを、美顔ローラーのようなものでコロコロすると、気持ちいい」とのこと。
しかし、それでほぐれるわけでもなく、なんとなく息苦しい感覚もあり久しぶりに鍼灸治療を受けようと思われたとのこと。
「娘にお母さん猫背がひどいよ!肩が前に向いてる。香庵に行って治療してもらいなよ!って言われちゃいました」とのこと。
香庵の診断・分析
胸の痛みを感じる場所を確認すると、鎖骨の下と第2,3,4肋骨の間の筋肉でした。
肋骨の間の筋肉(肋間筋)は呼吸でつかわれる筋肉で、この筋肉が硬くなると呼吸がしにくく感じたり、息苦しく感じたりする方は多いです。
在宅勤務は、リビングのテーブルでノートパソコンでお仕事をされている時間が長いとのことでした。
ノートバソコンを扱う姿勢が腕を前にした状態で長時間続くため、胸周囲の筋肉が縮こまりコリとなって現れた可能性があると分析。
また、からだには「左右、上下、前後のバランスを取ろう」とする性質があります。
そのため、胸のうしろ側である背中上部のエリアのコリもチェックしました。
すると、背骨をはさんで左右の筋肉がバーンッ!とつっぱったようになり、押すと強い圧迫感と痛みを感じる状態でした。
このことから胸の痛みを取るためにも、前後のバランスを整える必要があり、首から肩のやや広い範囲に渡る施術を行うことにしました。
施術内容と経過
仰向けで脱力した状態で頭と首の境目の動きをチェックすると、固まってまったく動かない状態でした。また、首と肩も1つの物体のように固まった状態で、首の骨の細かい関節の動きや筋肉の柔らかさと弾力がほとんど感じられない状態でした。
これは、胸の後ろである背中へと続いていました。
まずは頭と首の境目のコリを取り、とくに強かった左側の首の引きつれをゆるめて首から始まる背骨全体をリラックスさせた状態で5分間、休んでいただきました。
その後うつ伏せでお背中から腰まで全体をチェックすると、どのエリアでも強いコリと痛みがあり、O様ご本人も「まさか、こんなにコリがあるなんて想定外~!」とビックリされていらっしゃるほどでした。
とくに胸のうしろ側である背中上部のエリアは、筋肉の強く張っていて、背骨の際には鋭い圧痛がありました。
コリの位置や状態から、鍼での刺激は最小限に押さえつつも、お灸と併用してコリをゆるめていきました。(背中上部エリアは肺があるため、鍼を深く刺すことは禁忌とされる)
施術後、再び仰向けになって胸の痛みを確認すると、痛みが軽減されていました。
また、首から肩がゆるみ、背中上部のコリがゆるんでからだの厚みが減少したために、治療スタート時点より枕の高さが1段低くなりました。
リモートワークの間にできるストレッチ方法などもご紹介して、様子をみていただくことにしました。
治療の振り返り・院長より
ご本人の身体感覚としては「体調が良く過ごしている」と感じられていたというO様。
しかし、胸の痛みを感じるというのは、首や肩、背中の強いコリからくる影響だったと知って、驚かれていらっしゃいました。
しかしその原因は、在宅勤務でのノートパソコンによるお仕事で、長時間同じ姿勢でいることでした。
成人の頭の重さは、約5kg あるとされていますが、パソコンやスマートフォンなどを見るときの頭の傾きによって首にかかる負荷は25kg ほどにもなるのだそうです。
25kgもの負荷が首にかかるということは、首だけの問題ではなく、首から下のパーツである肩や背中、腰にも影響を受けてしまうということなのですね!
また、ご家族の中で、今回、O様だけが1年ぶりの鍼灸治療で時間が空きすぎたこともあり、ややコリが根深く現れていたことも気になりました。
ぜひ今回ご紹介したストレッチも活用していただきながら、これからもこまめにメンテナンスしてまいりましょう。お待ちしております!
いつもご利用ありがとうございます。
五反田の鍼灸院 香庵(かのん)
東京都品川区大崎5-4-7ハイツ五反田203号
五反田駅をご利用の方
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