症状について
定期的に来院いただいている50代女性のT様。
いつも腰痛予防と動きやすいおからだのベースづくりのため、香庵の美尻鍼をメインにその時々で現れる症状と併せてメンテナンスを受けていただいています。
ここ数回は、左腕の肘周囲に痛みを感じられる時がある、とのことで継続して治療しています。
今回、香庵のFacebookでご紹介したブログ記事とご自身の症状が同じだったそうで施術のご依頼をいただきました。
T様が「同じ症状!」とおっしゃった記事はコチラです。
T様の自覚症状は、右足の甲の中央と、やや小指側に歩き始めに時々ズキッとした痛みを感じるけど、痛む足の甲には腫れたり、傷があるわけではなく、熱感もないし、歩くと痛みは全く感じない。とのことでした。
最近、在宅勤務のためにパソコン作業で座り続けても疲れにくいデスクと椅子を購入し、以前よりも快適にリモートワークができるようになったら、腰ではなく足の甲に痛みが現れた、とのことでした。
香庵の診断・分析
右足の甲の痛みとのことで、実際に右足の甲を診ると、発赤、腫れ、傷などはなく、指で圧迫しても特別痛みを感じることはありませんでした。
足の甲に届く神経の根っこが腰にあることから、背骨の際を触診すると強いコリがあり圧迫すると、ズーンとした鈍くて重い痛みを感じる、とのことでした。
仰向けの状態でウエストの後ろをチェックすると、反った状態でベッドから浮き上がり、背部の筋肉がラクに寝ている状態でも縮こまって硬くなったまま、ゆるみにくくなっていました。
これらのことから、腰の背骨の際から足の先まで伸びる神経の根っこが、腰の筋肉のコリによって圧迫されているのが原因ではないかと分析。
また、普段から神経の根っこを筋肉のコリが締め付けている状態なのに、動き始めにさらに筋肉が縮もうとすることで、瞬間的に神経の根っこがさらに圧迫されて、鋭く、ズキッとした痛みを感じるのではないかと分析しました。
施術内容と経過
足の甲が痛い、という症状なのに「これは腰からきていますね。」といきなり言われても、からだの構造や理由が分からないと納得しにくいものですね。
武術の心得があり、おからだの構造や身のこなし方などに造詣深いT様に、私が鍼灸学生時代から愛用している解剖学の教科書で、足の甲につながる神経の根っこがどこから始まるのか、図で確認していただきました。
解剖学の教科書ってリアルな写真は載ってないけど、苦手な方にとってはイラストでも気持ち悪く感じられるかもしれないのですが・・・
さすがT様!躊躇されることなくご覧になられました!!!(笑)
解剖学の教科書の図によって、足の甲中央は「L5」、足の甲小指側は「S1」と番号が振られているのを確認しました。
「L5」は神経の根っこが腰椎5番から足の甲中央へ伸びていること、
「S1」は神経の根っこが骨盤から足の甲小指側へ伸びていることを現したものです。
さらに、T様は左腕の肘近くにも痛みを感じられる時があって、継続的に治療を行っているのですが、解剖学の教科書の図で「C6」と「C7」とそれぞれ番号が振られている神経の根っこと関係があることが確認できました。
それぞれ頸椎6番、7番から神経の根っこが肘を通り、指先まで伸びていることを現したものです。
「じゃぁ、今日はC6、C7、L5、S1、お願いしま~す!」
と、なんだか夜のクラブのテーブル席の番号(!)みたいですが・・・(;^ω^)
あくまでも神経の根っこと関連した痛みの治療ポイントの確認のための会話です!!!( ̄▽ ̄;)
実際の施術では、T様とご一緒に解剖学の教科書で確認した首と腰、それぞれ背骨の際に鍼とお灸を行い、神経の根っこが、コリによって圧迫されている部分をゆるめて行く治療を重点的に行いました。
施術後、仰向けになっていただき、背骨の際のコリがゆるむことで得られる姿勢(背中全体がベッタリと施術ベッドについてりラックスできている状態)を確認できました。
左の肘周りの痛みと、歩き始めたときの足の甲の痛みを確認していただいたのですが、この時には特に痛みが現れませんでした。
次回の施術時に、今回の治療経過と症状の変化についてご報告いただくことになりました。
治療の振り返り・院長より
神経の根っこが圧迫されると末端の腕や足に痛みが起きるのは、正座をすると、ふくらはぎが圧迫されるのに足先が痺れるのと似ている、と、香庵ではよくご説明します。
神経って、圧迫された位置より、その先の神経の末端に違和感、シビレ、痛み症状が現れるようです。
そのことで、T様には思い当たるフシがありました。
在宅勤務のために疲れにくいデスクと椅子を購入し、以前よりも快適にリモートワークができるようになったことで、身動きをほぼすることなく、長時間同じ姿勢で作業することになり、常に腰と骨盤に負荷がかかり続け過ぎてしまったという事も、神経を圧迫することになった理由の1つと考えられました。
同じ理由で、パソコンのマウスとキーボードをつねに使うことで、頭の位置や腕の使い方も10時間以上同じ状態で首と肩にも負荷がかかり、神経を圧迫していたようでした。
手足のシビレや痛み症状は「歳のせい」と言われがちなのですが、実際は強いコリによって、背骨の際の神経の根っこが圧迫されたことで起きるケースが多いです。
T様のお父様は、
「病院に行ったら加齢だ、加齢だ、って、なんでも歳のせいにするけど、俺はカレーライスじゃないぞ~!」
「あんまり加齢だ、加齢だ、って言われたらカレーライスになっちゃうじゃないか!」
と、よく仰っていらしたそうです。
(こういう昭和テイストのギャグ、なつかしいですね~~~!)
病院での検査でも患部に異常がないと「歳のせい」「歳だから」「加齢によるもの」といわれるものを、香庵では 「歳のせい」問題 と位置づけています。
「歳のせい」と言われて「痛みがあっても歳をとってるのが悪い。諦めるべき。そのまま治らないもの」という意味で受け取ってしまう方が多く、気持ちまで落ち込んでしまうものなのですが、T様のお父様は昭和テイストのユーモアで表現されていらして、なんだかほっこりしますね(#^o^#)
定期的に来院いただいているとはいえ、T様が香庵のブログをキッカケに、
腕や足のしびれと痛みは、鍼灸治療で治るんだ!と気付いてくださったこと。
「歳のせい」って言葉を聴く無意味な時間に遭遇することを回避できたこと。
本当によかったなぁ~!と思いました。
また次回の施術時のご報告を楽しみにしています!
いつもご利用ありがとうございます。
五反田の鍼灸院 香庵(かのん)
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